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三角

2020年7月1日からレジ袋が有料化になった。そして有料化になると同時にレジ袋が我が家から急激になくなって行きつつある。

家内のこだわりポイントのひとつに節約というのがあるのだが、多分、その一環なのだと思う。紙袋とレジ袋をため込む、という癖があった。

ため込むのは良いのだが、どうも、それをきちんと整理してストックをするということが苦手なのである。あるときは冷蔵庫の横の隙間や、キッチンの棚の一段に。そしてあるいは部屋の空箱の中や、納戸の隙間に、無造作に突っ込んである。

断捨離をしたい。家を徹底して片付けたいというのが悲願なのだが、なかなか進まない。それでも歯を食いしばって進めようとしている矢先に、その無造作な空間にぶち当たると、どうしてもイライラしてしまう。

あのー。これらは、どういうことでしょうか。必要ないのでしょうか。全部捨てたいんですけれど。

と、それらの無造作空間を指さして言うと、家内は、

何を言っているのよ。節約よ。苦労して、集めているのよ。買ったらどれだけかかると思っているの?

でも、きちんとしないと、片付けが進まないよ。断捨離できないのは、こういういい加減さが原因ではないでしょうか。

すると、

他のものの量が多いんじゃない。あなたの持ち物が、我が家を狭くしていると思うけれど。

と、返してくる。

いや……

と切り返すか返さないかのうちに、

はいっ!タセキング〜!

だいたい、ここで会話が終わる。私の完敗なのだ。いつも。

昨年の冬休み、あまりにもため込む癖が直らないばかりか、どんどん捨てずにため込むので、私はひとり、覚悟を決めた。

レジ袋は、「三角折り」をして纏める。それを、徹底してやり抜こうと決めたのだ。

家中のレジ袋をリビングに集結させ、それを一枚一枚、三角折りして収納していく。何枚あるだろう。何時間かかるだろう。そうは思ったが、朝から晩まで、トイレと食事以外に休むことなく、やり続けた。丸2日間、やり抜いた。おそらく、何千枚は、三角折りをしたが、それでも全体の3分の2くらいまでしかできなかった。

家内は、私の根気を見くびっていたようだが、3時間、6時間、半日、15時間、一日と黙々とやり続けていくと、だんだん根負けしてきた。

もう、いいよ。

家内から、しおらしくそういわれ、二人で話し合い、残った3分の1は、燃えないゴミで廃棄。折りたたんだ「三角折り」のものは、透けて見える箱に分納してきちんと収納することにした。

年明けから7月までは、増えたが都度三角折りをした。そして7月を過ぎてくるとレジ袋は順調に減ってきている。ただ、1日に数枚使っても、我が家には、まだまだストックがある。

あなたの根気には、敵わないわ。

あの時、家内にそう言わしめたのは爽快だった。しかし、よくよく考えると、結局は私のひとり働きをさせられただけだった。

やはり、家内の勝ちだった。家内は、かなりの手練れなのである。

※「タセキング」とは、他責とキングを合わせた、我が家独特の造語である。つまり、いつも他責にする人のことである。


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