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これがおおさか

レジに並んでいる。杖をついたおじいちゃんがスポーツ新聞をレジ台に置く、おじいちゃんが腕を少し捲った。驚いた、Apple Watchが左手に巻かれていた。手袋をはずし、慣れた手つきで操作して店員さんに腕を突き出す。店員さんはスキャナーをApple Watchに近づける。

(すげーな、paypayかな?)

会計が終わり、自分の番がくる。買い物を済ませて店を出ようとするとまだおじちゃんはゆっくり杖をついて歩いていた。追い抜かそうとすると、ひらりと何かが落ちた。

(あっ手袋だ)

手袋を拾いおじいちゃんに話しかける。
「手袋落としましたよ」
「へ?あーありがとう」
「時計かっこいいですね」
「へ?あーこれなあ犬がひろってきてん」
「ぶへっ」
突然のボケに吹き出してしまった、おじいちゃんはまだ喋る。
「んで画面真っ暗やし、よーわからんから、こんなん拾ったあかんで!ってどなったら犬ダーって走り去ってな、ちょっとしたら戻ってきたらまた時計持ってきとんねん」
「ああはい」
「したら設定やら、なんやら全部終わってて使えるようなっててん、やっぱり長年うた犬が一番信用できるわ、人間は信用ならん」
「いやいや、そんなわけないでしょ」
「にいちゃんも、犬うたほうがええで、洗濯も皿洗いもなんでもしてくれる、人間より犬やなあ」
「ええ...なんの話ですか?」
「人間は信用ならんちゅーこっちゃ」
「はあ」

そんな日でした。
ほなまた。

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