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建設業界に入って1ヶ月で、20人にインタビューした話

昨年、自分とは縁もゆかりもない”建設”という場所に飛び込みました。
こんな会社で楽しくやってます)

いまだに「なんでうちに来たの?」「変わってますね...」と知人やクライアントから言われる毎日で、その経緯はまた別で書くとして(ちゃんと理由ありますよ!笑)。

右も左も知らない場所に飛び込んでやってみた、ユーザーインタビューについて書いてみます。


未知の場所に飛び込んでみて

これまで一般の方向けにサービスを作ってきたものの、事業者向けの事業は初めてでした。

しかも建設業は今まで関わってこなかった未知の業界。
ネットで調べても、「市場は大きい」「人が不足している」程度の情報しかわからない。

そこにいる人たちの趣向、行動、インサイトを知るためには、
「やはり直接話を聞いてみるしかない...!!」ということで、
入社から1ヶ月で約20名の方にインタビューを行いました。

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なぜ20人にインタビューしたのか**

統計の観点で見ると、5人に聞けば網羅できていると言われる中で、
「20人インタビューは多くないか...??」という声もあると思いますが、
建設業界特有の複雑さから、ある程度の人数が必要と考えました。

例えば....
・30を超える工種の存在(参考:細区分工種対応表)
・施主 / 元請 / 職人という立場の存在
・会社の規模によって、全く異なる働き方
・担当する工事の規模によって発生する違い

どんな人たちが、どう働き、何を求めているのか、
全体感や商慣習、構造はどうなっているのか把握するために、
この規模で行いました。

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インタビューの設計の前に行ったこと

インタビュー自体は前職でも行ったことがありましたが、
改めて一から勉強し直そうという気持ちで、知人にヒアリングしたり、書籍やブログなどを漁るなどして、インタビュー設計から始めました。

その時に参考にしたのは、以下の内容です。
ただ、やはり一番参考になったのは、経験豊富な知人の知見でした。

<参考にした書籍やブログ>
・書籍
 - 『ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門
・ブログ
 - Goodpatchさんのブログ(インタビュー以外の内容も多岐に渡って書かれています)
 - その他多数のブログ(exUXデザインに必要なユーザーインタビューの方法と質問設計

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注意したこと**

良く言われることですが、
・インタビューの目的やゴールを明確にすること
・きちんとアイスブレイクをすること:無意識でも、よく見せようとして素の意見が出てこない
・誘導しないこと:つい出てくる言葉や行動ではなくなってしまう
言葉ではなく具体的な行動を見る(聞く)こと:具体的な行動からしか見えてこないことが多い

などに集約されると思います。

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インタビュー対象者の集め方

様々なインタビュー対象者を一定人数集めることに
骨が折れるかなと想定していたのですが、
思いの外、苦労することなく集めることができました。

おそらく所属している会社特有だと思うので再現性が少ないのですが、
・建設業界に関わる多様なメンバーが、社内に60名以上所属
・創業から19年に渡って建設業を行っているため、社外にも良い関係を築けているクライアントが多数存在

結果、ものの数日でインタビューの準備が整ってしまい、
サービスを考える人間として、感謝せざるを得ない瞬間でした。

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インタビュー結果の外観

(当たり前で当たりますが、思っていた以上という意味で、)
インタビュー対象者が口にすることは、必ずしも実際の行動と一致しません。

例えば・・・

言葉と行動の違い
「写真を投稿するのは面倒なんだよねー」
-> facebookで頻繁に写真を投稿

「ITってよくわからないし、使えないと思う」
-> LINEは全員毎日使っており、中にはTrelloを使っている人もいた。

「遠くまで行って仕事をすると、仕事がないと思われちゃうじゃん笑」
->車で千葉から羽田あたりまで車で仕事をしている

他にも....

特有の職人気質(?)
・「自分から電話を掛け直すのは、プライド的に嫌」

IT未開拓
・「クレジットカードをインターネットに登録するのは、何となく不安」
 ※そもそも与信の関係で、カードを持っていない方も多数
・スマホのトップ画面が、購入直後の画面のまま
 (全員が、口を揃えて使っていると話すLINEは、2ページ目でした...)

振り返ってみて

インタビューの設計、対象者集め、実施、整理、分析…を、2か月の間に一から行うのは、やはり骨が折れました。。

ただ、振り返ってみても、やらないという選択肢はなく、実際に労以上の学びがありました。


一次情報に触れることと、仕組み作りの重要性

時折”市場調査”を行うのですが、改めて誰もが触れられる情報だけではあまり意味がないという実感です。

まだ埋もれている情報や感情、習慣の変化に直接触れないと、正しい一手が出てこない。その埋もれている情報をいかにして発見するかどのように自然と入ってくる仕組みを作り上げるかがキモだと思います。

運良く、今の会社には60名もの建設関連のメンバーがいたため、上記の仕組みを構築できていました。例えるなら、ヘルスケアサービスを提供する会社に、60人の医者や看護師が所属するようなもので、それがそのまま強固な強みだなと。


中でも、一番大きかった収穫

おかげさまで、少しずつ業界の構造や商習慣を把握でき、
頭の中にユーザーの顔が浮かぶようになりました。

何より、個人的に一番大きかったことは、
市場や社会課題、データを眺めているだけでは生まれにくい、
彼らのためにサービスを作りたい熱量が強くなったことが、
非常に大きな収穫だったと感じます。

常にそこに携わる人ありきだと思うので、インタビューおすすめです。
また、もし知見などある方がいましたら、ぜひ意見交換させてください!

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