おせんべいとゼリー
おせんべいは自分の体がパキパキしているのがとても嫌いでした。
「ゼリーさんみたいにぷにぷにしていたらいいのになぁ」
ゼリーはゼリーで、自分の体がぷにぷにしているのがとても嫌いでした。
「おせんべいさんみたいにパキパキしていたらどんなに素敵だろうなぁ」
ある日、おせんべいとゼリーは相談しました。
「それぞれのいいところ、取り換えっこしてみない?」
「いいね、やってみよう」
おせんべいとゼリーは手と手を重ね、おまじないをとなえました。
そうしたら、世界中のおせんべいがぷにぷにに、ゼリーがパキパキになりました。
「すごいぞ、こりゃいいや」
「こんなのにあこがれてたんだ」
二人は大喜びでした。
でも世界中の子供たちはちっとも喜んでいません。
それどころかがっかりしている様子です。
「こんなぷにぷにのおせんべい、ちっともおいしくない」
「パキパキのゼリーなんて食べられやしないよ」
おせんべいとゼリーは再び相談しました。
「やっぱりもとに戻ろうか」
「そうだね、その方がよさそうだ」
二人は前と同じように手と手を重ね、おまじないをとなえました。
そうしたら、世界中のおせんべいがパキパキに、ゼリーがぷにぷにに戻りました。
それきり、おせんべいもゼリーも、自分の体のことについて文句を言わなくなりました。
なんとなく気まずい二人。
おせんべいとゼリーが一緒のお皿に乗って出てこないのには、そんなエピソードがあるんだとか。