大森靖子とわたし

最初は全然好きじゃなかった。
拒否反応さえ持っていた。

でも、なんだかずーっと気になっていて、ちょこちょこアップルミュージックで聴いては、やっぱむりだわ、となっていた。

そんな印象が変わったのは三枚目のアルバムを聴いてから。アルバムの1曲目。純粋にかっこよかった。歌詞は意味がわからなかった。でも、そのアルバムは繰り返し聴いた。
気づくと拒否反応は薄まっていっていた。
アップルミュージックの恩恵を受けながら曲を聴いた。ライブ映像も見た。カラオケで歌うようにもなった。の子と共作した「非国民ヒーロー」はかなり好きだった。歌詞もメロディーも。わかる、が節々にあった。

そして、当時付き合っていた彼にライブに誘われて、行ってみた。キチガイアツアー。ずっとなんか見れないでいたブレイクスルーの動画を前日に予習したりなんかした。

当日は周りほどの熱量はもってないことを感じて、わたしなんかがここにいていいのかなって、おびえながら会場にいて。ライブが始まってからも、まわりをキョロキョロ見てた。
ただ、マジックミラーを歌う大森さんはすごくかっこよかった。力強さみたいな、たくましさみたいな、そんなものを感じて、前日ブレイクスルーを見ていたから余計に、かっこよさを感じて震えた。あとは、基本的に会場が寒くて、意識が朦朧としていた。残念すぎる。

周りに比べればやはり全然足りない想いで見ていたと思う。けれど、終わったあとにもなんだかひっかかっていて、存在が気になって、そして、手を伸ばした「かけがえのないマグマ」。これがもうだめだった。なにがだめって、過去のわたしをグイグイえぐってくる感じ。別に大森さんの人生と、わたしの人生はなんにもシンクロしてない。なのに、過去のダメダメだった自分を思い出してしょうがない。そうなってしまう理由のひとつに、過去を曝け出している大森さんの存在があると思う。あんだけ喋られたら、必然的に自分のことも考えさってしまうよな。

最近は、以前は受け入れられなかった過去曲も聴くようになって、そしたら昔のわたしがそこにいる感じがして。べつに、歌詞が自分に当てはまるとかではなくて、感覚的な話なのだけれど、昔の自分こんなんだったなっていうのがたくさんそこにいて。ああ、わたしが大森さんを受け入れられなかったのはこういうわけなのか、ってしっくり来てるところ。

さらに、なんだかいまは気持ち悪さすらある。
ずっとずっとずっと、いらないと目を背けていた過去の自分。目を背けてすらいないな。なかったことにしていた、そんな自分が溢れ出す感じ。だから、ちゃんと思い出してあげたいなって、そう思ってる。