春寒菜花という名前について

春寒菜花というのは、その名の通り春まだ寒さと暖かさが交差する季節に咲く菜花を示している。

菜花が咲いて種をつけて、そして零れ落ちる。
同じ季節再びこの地に花を咲かせる。

菜花と言っても、菜種油用の食物や収穫しきれなかった白菜が董立ったものもそれに当てはまる。だから菜花という名前の野菜や草はない。

私は自然の中で名前というのはそんなに多くなくていいんだと思う。

あだ名やカルテに書かれる病名、LGBT、職業、ネット用語。さまざまなものに名前をつけ始め、区別しないと気が済まない。そんな社会になってしまったように思う。

わたしは今何者なのか、そしてその名前が評価されるに値するものなのか。
いつも外側を吟味して、自分が本当は何味なのか自分で分からなくなっている。

自己紹介①で冒頭に

本名でもよかった。いっそ名前なんてなくてもよかった。名無しでいい。語る言葉やこれまでの行動、これからの選択で私というものは形作られる。だから、私に名前はない。私は、わたしだ。

こんなことを書いた。
わたしという菜花とあなたという菜花はそれぞれがそれぞれの過程の後に菜花になるのだ。

あなたが選び取る選択や苦悩の果てに、あなた自身の答えがあると信じる。

そんな思いを込め、春寒菜花という名前をわざわざ付けさせてもらった。

これからもどうか呆れず付き合ってほしい。

2019.6.3      春寒菜花


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