健やかにリモートワークするための要素を整理してみた
リモートワークでも健やかにチーム感をもって働くために必要な要素を、個人的に整理してみました!
リモートワークであっても本質的な部分ではオフィスワークと変わらないのですが、オフィスワークでは無意識にできていたことがリモートワークでは意識的に工夫する必要があると思っています。
ここでは、「信頼関係」「コミュニケーション」「情報管理」「個人の心がまえ」の4つに分類しています。
それぞれの要素をひとつずつ解説していきます。
信頼関係
リモートワークでもチーム感をもって働くためには、メンバーどうしの信頼関係を築くことが重要です。信頼関係は、オフィスワークでももちろん重要だったのですが、リモートワークでは意識して工夫しないと簡単に信頼関係が崩れてしまうという意味で重要です。
リモートワーク下で信頼関係を維持するには、「接触・コミュニケーション総量」と「約束を守る」を意識する必要がありそうです。
接触・コミュニケーション総量
人は、接触回数が多いほど相手を信頼し好感を持ちやすくなります(単純接触効果)。オフィスワークでは毎日顔を合わせていたので、工夫せずとも接触量が担保されていましたが、リモートワークではそうはいきません。
オフィスワークと同じ感覚でいると、接触・コミュニケーション量が減って信頼関係が損なわれてしまいます。
よく言われる、「リモートワークだと会社やチームに愛着を持ちづらい」言説は、「接触総量の低下」が主な原因だと思われます。
意識的に工夫しないとオフィスワークに比較して接触総量が減り、信頼関係が損なわれる。まずはこの課題を認識するのがポイントです。
約束を守る
チームで決められたルールを守ることで信頼関係は強くなります。
『急成長を導くマネージャーの型』では、「約束を守れるという信頼関係は非常にパワフル。ルールを1回守るごとにチームメンバー同士の信頼関係が強くなる」と述べられています。
オフィスワークであっても約束を守ることはもちろん重要でしたが、姿が見えていることでの安心感・口頭コミュニケーションでのカバーができました。リモートワークでは姿が見えない分、約束が守られないときの信頼低下は非常に大きいです。
なお、ここでいう約束は能力が必要なものではなく誰でもできるものを指しています。例えば「日報を毎日書く」「時間どおりに朝会を始める」などですね。
コミュニケーション
健やかにリモートワークするためのふたつめの要素が「コミュニケーション」です。コミュニケーションも、オフィスワークと同じ感覚でいると損ねてしまいがちな要素です。
リモートワーク下でのコミュニケーションは、「プロセスのアウトプット」「ボールをすばやく返す」「わかりやすいチャットテキスト」「口頭で話すラインの認識合わせ」などに気をつける必要がありそうです。
プロセスのアウトプット
リモートワークでは他者の仕事ぶりや様子が物理的には見えません。他者の様子が見えないまま仕事をしていると、孤独に感じてしまいます。また、オフィスでは自然発生していた「困ってそうな人に声をかけて助ける」などのチームプレイも生まれません。
ですので、リモートワークでは意識的にプロセスをアウトプットする必要があります。
よく、「リモートワークではプロセスが見えないから結果が大事」という言説がありますが、わたしはそうは思いません。「リモートワークではプロセスが見えにくくなるから、意識的にプロセスをアウトプットするべき」だと考えています。
例えば、「ここまでやりました」「ここで困っています」など、仕事の途中経過をチャットで共有する設計にしておくといいでしょう。
ボールをすばやく返す
オフィスでは、「ちょっと見かけたときに疑問点を聞く」などの動きができました。タスクをボールに見立てると、キャッチボールの頻度が短くこまめだったわけです。
しかし、リモートワークでは「ちょっと見かけたときに聞く」ができないので、ボールを長く持ってしまいがちです。
「疑問点は来週の定例のときに聞こう」という思考が生まれたら黄色信号かもしれません。
ほとんどの場合、仕事のボールを長く持って良いことはありません。リモートワークでは、意識的にボールをすばやく返す必要があるのです。
よく聞く、「リモートワークでは自律的な人材が求められる」という言説をより具体的に言えば、「ボールをすばやく返せる」ということなのかなと思います。
わかりやすいチャットテキスト
リモートワークではコミュニケーションの大半がチャットになるので、わかりやすいチャットテキストを書ければ健やかに働きやすくなります。
わかりやすいチャットテキストについてはここで深くは語りませんが、ポイントは「結論ファースト」「短くシンプルに」でしょうか。『文章力ゼロでも書ける究極の型 THE FORMAT』 も参考になります。
口頭で話すラインの認識をそろえる
チャットですませる話題と口頭で話すべき話題の適切なラインは、話題の内容とメンバーのリモート習熟度によって異なります。
そのため、「こういう話題は口頭で話そう」とチームで認識をそろえられるとスムーズです。
この認識がそろってないと、「チャットでいいのに」「口頭で話したいのに」とヘイトがたまる原因になってしまうかもしれません。
ラインを決める変数は、「話題の複雑さ・新規性」「メンバーの話題に関する知識量」「メンバーのチャットコミュニケーション習熟度」などでしょうか。
情報管理
健やかにリモートワークするための次の要素は、「情報管理」です。
上述の「コミュニケーション」ではチャットなどのフロー型情報の話ですが、ここではドキュメントなどのストック型情報の話です。
なおここでは、何らかのツールを使ってドキュメントが蓄積されている前提で話を進めます。
リモートワーク下での情報管理は、下記を意識する必要がありそうです。
情報はドキュメントとして残す
オフィスワークでは情報がドキュメントとして残っていなくても、口頭で伝えられる「口伝」でカバーすることができました。しかし、リモートワークでは口伝が通用しづらくなります。
情報をドキュメントとして残す文化は、健やかにリモートワークをするうえでとても重要です。
ドキュメントの保存場所を明確に
次に重要なのは、ドキュメントの保存場所です。適切な管理方法はツールやチーム状況によって異なるでしょうが、ポイントは「情報を取りにいけば取れる状態にあること」です。
せっかく情報をドキュメントとして残していても、どこにその情報があるかわからなければ意味がありませんから。ドキュメントの保存場所を決めるルールを設計して、情報を取りにいける状態にする必要があります。
わかりやすいドキュメント
情報をドキュメントとして残す以上、そのドキュメントが読みやすく理解しやすいとさらにハッピーですね。
わかりやすいドキュメントを書くには、「パラグラフライティング」を習得するとよさそうです。『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』が参考になります。
個人の心がまえ
健やかにリモートワークをするための最後の要素は、個人の心がまえです。ここまで述べてきたことは会社やチームで取り組む内容でしたが、以下の内容は働く個人それぞれが意識する必要があります。
リモートワーク下で、個人が意識するべきこころがまえは下記です。
察してもらうことを期待しない。変に察しない
リモートワークでは、気持ち・感情を察してもらうことが困難です。察してもらうことを期待していても状況は良くなりませんから、苦しいときは苦しい、と自ら発信することが求められます。
逆に、変に察してしまうのも良くありません。顔が見えないなか、限られた情報で感情を読み取るのは難しいです。にもかかわらず、例えばチャットの文面をみて「機嫌が悪いのかな」「怒らせたかな」などと、変に察してしまうのは誰も得をしません。
健康管理
リモートワークでは、運動不足・プライベートとの切り替えなどなど、健康管理の罠がたくさんあります。自分に合った健康管理方法を見つける必要があるでしょう。
情報摂取リテラシー
この記事でここまで記載したことは、「情報はできるだけオープンにする」を前提にしています。これが成り立つのは、情報の受け手が適切に情報を取捨選択できる、「情報摂取リテラシー」を持っていることです。
情報摂取リテラシーを損ねたメンバーがいると、情報をクローズにする力学が働いてしまいます。「この情報を共有すると混乱させてしまいそうだから」と遠慮してしまうようになるんですよね。
こうなってしまうと、健やかにリモートワークすることが困難になってしまうので、個々人が情報摂取リテラシーを持つことが重要です。
以上、健やかにリモートワークするために必要な要素をまとめてみました。今後はこの要素それぞれを強化するための、より具体的な考察を進めたいと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました!
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