相手にエスパーさせないチャット術を考えてみた
Slack などのチャットテキストで、「つまりどういうこと?」と言われてしまったことはありませんか?逆に、相手のチャットにそう感じたことは?
いまや仕事で日常的に使うようになったチャットツール。どうせなら相手に伝わりやすいテキストを書けるようになりたいですよね。ということで今日は、「相手にエスパーさせないチャット」について考えてみました。
しっかり読み込まないと意味が伝わらないチャットになっていませんか?
この記事では、「相手にメンションをして何らかのアクションをとってほしい」ケースを想定しています。「意見がほしい」「判断してほしい」などのとき、相手にスムーズにアクションをとってもらうためのポイントを解説していきます。
まず、下記のチャットテキストを読んでみましょう。
あなたがメンション相手の hogehoge さんだったとして、「何をすればいいか」がすぐに読み取れましたか?おそらく、2-3度読み直してようやく、「競合機能比較資料の在り処を教えてほしいんだな」と気づけたことと思います。
こうした、意味を読み取ることに時間がかかるチャットを、この記事では「エスパーさせるチャット」と呼んでいます。
エスパーさせるチャットテキストというのは上記のように、「しっかり読み込めば言いたいことは何となく伝わる」類のものです。
意味がまったく伝わらないわけではないので、エスパーさせるチャットをしていてもなかなか指摘を受けません。指摘を受けないので、エスパーさせるチャットを自分で気づくのはなかなか難しいわけです。
それでは以下に、エスパーさせないチャットテキスト5つのポイントを紹介します。
相手にとって重要な情報から並べる
ひとつめのポイントは、「相手にとって重要な情報から並べる」ことです。
ポイントは、自分にとってではなく相手にとって重要な情報から並べることです。意識しないと、ついつい自分にとって重要な情報から書いてしまうんですよね。
今回のケースではメンションした相手にアクションをとってほしいわけですから、「相手にとってほしいアクション」が相手にとって最も重要なはずです。
それでは、先ほど挙げた例をもう一度みてみましょう。
このテキストのうち、「相手にとってほしいアクション」は、「競合機能比較資料が●●フォルダになかったのですが、確認いただけますか?」部分です。相手にとってほしいアクションが、最後にきてしまっているわけです。
メンションを受け取った hogehoge さんにとっては、自分が何をすればいいか分かららないまま最後の文章まで読む必要があります。何を求められているか分からず読む文章は、思った以上に意味を読み取りづらいものです。
ですので文章の順番を入れ替えて、hogehoge さんにとってほしいアクションを冒頭に持っていきましょう。
最初の例よりも、少しわかりやすくなりましたね。カイゼン前のテキストでは必ず最後まで読む必要があったのに対して、カイゼン後は最初の一行目時点でピンとくれば、二行目以降を読む必要がなく親切です。
なかには、前置きもなしにいきなり「○○してください」から始めるのは失礼と気をつかった結果、前置きから始めている方もいるかもしれません。しかし、「エスパーさせない」という観点では、前置きなしで「○○してください」から始めてくれた方が親切なのです。
相手のアクションを明確にする
相手にエスパーさせないチャットテキストを実現するには、相手にとってほしいアクションを明確にした方が良いでしょう。
その視点で先ほど冒頭に持ってきた一文を読むと、カイゼンポイントが見つかります。
「確認」は便利なことばで、どんなときでも使えるのでついつい多用してしまいがちですよね。しかし便利な分、意味をどうとでもとれてしまう欠点があります。
教えてほしいのか・意見がほしいのか・ただ読めばいいのか。エスパーさせてしまわないように、してほしいアクションを具体的にすると良いでしょう。
今回のケースでは、資料の場所を教えてほしいので、「場所を教えてください」と明記することにしましょう。
文章の順番も入れ替えてスッキリさせました。かなり分かりやすくなりましたね!
ここまで挙げた、「相手にとって重要な情報から並べる」「相手のアクションを明確にする」を実践するだけで、相手にエスパーさせる確率はグっと減ることと思います。
何の話か明確にする
相手にエスパーさせないためには、何の話かを明確にするのが大事です。発信者にとっては何の話か自明であっても、相手にとってはそうとは限らないためです。
例えば、「明日の件で」と言われても相手はどの件か分からずエスパーさせてしまうことになります。エスパーさせないよう、何の話か明確にするのがよいでしょう。
上記のように、何の話かを明確に示せていれば、エスパーする必要はなくなります。
短くまとめる
相手にエスパーさせないようにと思って、あれもこれもと情報を詰め込んで長文になってしまうと逆効果です。長文になるほど、読解に時間がかかり相手に負担をかけるばかりか、発信者の望むアクションをもらいにくくなってしまいます。
Slack をはじめとするチャットツールは長文読解に不向きなツールですので、短くまとめましょう。目安として、4-5行を超えたら、「長文すぎないかな?」と疑うといいかもしれません。
長文になってしまう原因は、「相手にとって不要な情報が入っている」「問題が複雑」などです。それぞれの対処方法をみてみましょう。
相手にとって不要な情報が入っていて長い場合
相手のアクションに必要な情報だけを入れるようにしましょう。ポイントは、「相手のアクションに」必要かどうかの視点を取り入れることです。
こうしてみると、「前回のヒアリングで〜」以降の文章は、あってもなくても相手のアクション「競合機能比較資料の保管場所を教える」には関係しないように思えます。後半部分はバッサリとカットしてしまいましょう。
明日の商談で使う一文は、「アクションをいつまでに行う必要があるか」の観点で残しました。さらに、「今日中に教えてほしい」と明記することでエスパーさせないようにしています。
問題が複雑で長い場合
問題が複雑なときは、相手のアクションに必要な情報だけでも長文になってしまうことがあります。この場合は、「情報をドキュメントにする」「口頭で認識をそろえる」など、チャット以外の選択肢を検討した方がいいかもしれません。
一投稿に一テーマ
相手にエスパーさせないための、最後のポイントです。チャットテキストでは、ひとつの投稿につきひとつのテーマで投稿しましょう。ひとつの投稿に複数テーマがあると、文章を読み解く難易度が高くなるためです。
例えば先ほど例に挙げた、「競合機能比較資料の場所を教えてほしい」投稿に、「B社からセミナー登壇依頼を受けているので相談したい」を加えてしまうと、読解コストが一気に上がってしまいます。
複数の相談や依頼事項がある場合では、ひとつのテーマあたりひとつの投稿にしたほうが良いでしょう。
発信者の心理として、「メンションを複数とばしたら申し訳ない」という気づかいから、複数テーマを一投稿にまとめているのかもしれません。しかし
、相手からすればテーマごとに分けてくれた方が助かるのです。
以上、エスパーさせないチャットテキストのポイントをまとめてみました。最後に before→afterを載せておきますね。
エスパーさせるチャットテキスト=悪ではない
最後に。ここまで、「エスパーさせないチャットテキスト」について書いておいてアレなのですが、「エスパーさせるチャットテキスト」自体が悪いとは思っていません。
エスパーさせることを恐れてコミュニケーションしなくなるくらいだったら、エスパーさせてようがコミュニケーションが発生している方が良いと思うからです。
望ましい順に並べると、エスパーさせないコミュニケーション > エスパーさせるコミュニケーション > コミュニケーションしない だと思っています。
ですので、エスパーさせるチャットテキストを責めたい意図は一切ないことを最後に申し添えておきます。
以上、最後までお読みいただきありがとうございます。
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