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使い切れないほどの石けんを作り続けた日々

理科室のようなビーカーにマドラー。
0.1g単位で量れる電子スケール。
入れ子で重なったボウルやゴムベラ、そして泡立て器。
実験室なのかキッチンなのか、よくわからない道具が所せましと大きなテーブルの上に広がっている。
日が当たらない場所を選んで設置された棚には、オリーブオイルやココナッツオイル、アルガンオイルやホホバオイル……。無色透明から乳白色、黄色やオレンジなどの温かい色からうっすらとした緑まで、淡く色づいたオイルが大小さまざまな大きさの容器に入って並ぶ。
その隣には乾燥材と一緒に缶に入った竹炭パウダーやヨモギパウダー、ガスールなどの泥の粉や、ドライハーブが入っている。

これは、私が石けんづくりにハマったときの作業場の様子(の一部)。
本当はもっと色んなものが置いてあったけど、全部書いていたらそれだけで1,000文字を超えそうだ。

キッカケは誰かのエッセイ。
本を参考に自宅で石けんを作った様子が描かれていた。
まるで料理のようなその様子に「私も作ってみたい!」と、すぐさまそのエッセイで紹介されていたのと同じ本を買い、作ってみた。
材料の配合や組み合わせでできあがるものが変わる。
そんな実験のようなことが大好きな私はすぐにのめりこんだ。

石けんを自宅で作るにもいくつか方法があり、私が好んだのはCP(コールドプロセス)と呼ばれる方法だった。
仕込みから実際に使えるようになるまで、1ヶ月以上も時間がかかる方法。
完成を待っている間にも次々と仕込んだものだから、あっという間に一人暮らしの部屋が、乾燥中の石けんで埋まった。

しかも石けんは、1回作ると10~12個ほどできる。
10個の石けんを使い切るのに、いったいどれだけ時間がかかると思っているのか。
当時の私に教えてあげたい。
そのまま作り続けていたら、使い切れなかった大量の石けんと一緒に引っ越すことになるんだよ、と。

あれからしばらく作っていなかったけど、久しぶりに作りたい。
でも。
楽しくなりすぎて、大量生産しない自制心を用意してから挑まないと。


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