見出し画像

今日のジャズ: 1月20日、1972年@ニュージャージー

Jan. 20, 1972 “Mystic Brew”
by Ronnie Foster, Gene Bertoncini, George Devens, George Duvivier, Gordon Edwards & Jimmy Johnson at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ for Blue Note (Two-Headed Freap)

1月5-6日に登場したグラントグリーンの曲で、この上無いノリのオルガンを披露したロニーフォスターによる翌年のデビュー作品からの自曲演奏。

ジャズスタンダードというよりも、強く印象の残るメロディーと展開から、局所が切り取られて多数のDJにサンプリングされて知る人ぞ知る有名曲となっている。以下は冒頭部分のサンプリング曲。

ベースから始まり、ギターが乗り、鉄琴が加わり、そこにミステリアスなロニーのオルガンがピヨーんという浮遊感でオーケストレーションして、コンテンポラリー音楽のように微妙な調和で進行する、独特の展開と雰囲気を持つ、ラウンジミュージックの元祖的な楽曲。

フュージョン主体の伴奏者に、純ジャズの重鎮アコースティックベース奏者のデュビビエがいるのが人選の妙。全てを電子楽器で纏めると人工的な音楽となるので鉄琴と図太いベース音の生音を入れてバランスを取ったのだろう。

2:13から顕著なオルガンによるフレーズの繰り返しで盛り立てるスタイルは、グラントグリーンの得意技に類似しており、ツアーを共にする中でロニーが吸収していったものかもしれない。ここにはグリーンは参加していないが、リズム主体の洗練されたギターが加わっているのも、何らかの影響があるとみる。とはいえ、グリーンとの共演スタイルとは全く異なるロニーの音楽的趣向の大転換はあっぱれ級。グリーンのブルージーなジャズギターからのジャズファンクへの転向も勿論凄いのだが、隔絶感のレベルが違う。

そしてゴリゴリの純ジャズ録音の印象が強い録音技師の巨匠ルディヴァンゲルダーとブルーノートの組み合わせでありながら、それを感じさせない、都会的で趣の異なる作品となっている。巨匠は、どんな作品でも確実に良い仕事をして作品を世に送り出している事が分かる。

1月5-6日に取り上げた、ロニーが活躍しているグラントグリーンの作品は、こちらからどうぞ。

この記事が参加している募集

#私のプレイリスト

10,565件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?