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ジャズ記念日: 8月4日、1972年@プレイボーイクラブNY

August 4, 1972 “Alone Together”
by Jim Hall & Ron Carter at Playboy Club, New York for Milestone (Alone Together)

デュオの名手、ジムホールがベースのロンカーターと組んだライブ演奏。場所はNYのセントラルパーク南東に面した建物にあった会員制の”Playboy Club”。

あの男性雑誌から派生したレストランにおける演奏で、こういった催しがある時には非会員にも門戸が開かれていたそう。お給仕はバニーガールという演出で、録音は節々に、その観客の食事の際の食器の音を捉えている。

1970年代のPlayboy Clubの様子

そんな場所で、どちらかと言うと地味で渋い生真面目な通好みの二人の中年男性が真剣に演奏している姿を想像するとだけでも面白い。

1972年当時のホールとカーター
アルバムの裏ジャケットに収められた二人

主旋律と伴奏がロンカーターのベースとジムホールのギターが入れ替わる形で手掛ける流れ。2:48からジムホールの手癖のような、お決まりのフレーズが登場、これは前月最終曲の4:59辺りでも聴くことが出来る。ロンカーターのベースは、ピッチが夏の熱気もあってか若干浮き気味で1:43からのジムホールとのアンサンブルで微妙な揺らぎが生まれているように終始モニョモニョしている印象、1:53から伴奏に回った際にベースでは滅多に無いコードを弾くのがデュオ演奏ならでは。

音色がモヤっとして粘り気がある事が蒸し暑い、タバコの煙を纏ったような空気感を醸し出していて、何故か夏になると聴きたくなる演奏の一つ。曲は「あなたと夜と音楽と」等を手掛けた名コンビ、ハワード・ディーツ&アーサー・シュワルツの作品。

実はプレイボーイ誌には他にもジャズに縁がある。同雑誌は、メディアとしてジャズ演奏者の人気投票を行っていた。その各楽器部門で一位を獲得した面々を集めてその演奏を録音するという企画、ポールウィナーの作品は、プレイボーイ誌が無くては成立しなかったはず。

本アルバムのレーベルは、上記アルバムを世に送り出した西海岸の名門Contemporaryの創設者、オリンキープニューズが1966年にニューヨークで立ち上げたMilestone。キープニューズは元編集者だったから、プレイボーイ誌とも何かの繋がりがあったのかもしれない。

一方、プレイボーイ誌を立ち上げたヒューヘフナーもジャズに縁があって、Playboy Jazz Festivalをその出身地シカゴで1959年に実施、その後、間をおいた1979年から2019年の四十年にわたってロサンゼルスで開催していた(現ハリウッドボウルジャズフェスティバル)。その当時のライブアルバムも遺されている。

本作のみならず、複数のライブアルバムがある
メイン会場のハリウッドボウル
1920年代から続く由緒ある会場

さて、ジムホールのデュオ演奏に興味を持たれた方は、ピアノのビルエバンスとの耽美なデュオ作品をどうぞ。

そしてホールとピアノのミシェルペトルチアーニによる寄り添うデュオのライブ演奏もどうぞ。

最後に、ホールとカーターが共演している本作から約三年後のコンテンポラリー系ジャズ演奏をどうぞ。

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