見出し画像

今日のジャズ: 12月12-14日、1995年@シアトル

Dec. 12-14, 1995 “Our Spanish Love Song”
by Ginger Baker, Bill Frisell & Charlie Haden
at Bear Creek Studio, Woodinvile, WA for Atlantic (Falling Off the Roof)

エリッククラプトンが参加した伝説的ロックトリオ、クリームのドラマー、ジンジャーベイカーによる、本ベーシストのチャーリーヘイデン作曲のスタンダード曲のトリオ演奏。

クリーム時代のベイカー、右がクラプトン

同様にロックドラマーを生業とするものの、ジャズアルバムを残しているのは、The Rolling Stonesのチャーリーワッツ、The Beatlesのリンゴスター、プログレッシブロックバンドRushのニールパート等がいる。

ジャズの巨人、エルビンジョーンズに捧げた組曲を
ビッグバンドで演奏した作品もある
リンゴスターのソロデビュー作は、
ジャズスタンダード曲のカバーアルバム
ニールパートは自身を含む辣腕ドラマーと
バディリッチ楽団の共演アルバムをプロデュース

ローリングストーン誌が選ぶ「史上最高のドラマー」ランキングで、ベイカーが3位、ワッツは12位、スターが14位、パートが5位と、出来るドラマーはジャンルを超えて演奏出来るスケールの大きさがある事がわかる。

ベイカーの書いたライナーノーツには、アートブレイキー、マックスローチとエルビンジョーンズへの謝意が書かれていて、これらのジャズの巨人のドラミングを進化させる事で現在のロックドラムの基礎が出来たと言えそう。因みに、ベイカーの代名詞となったツーバスドラムについては、白人ドラマーの巨人、ルイベルソンが導入して普及に一役買っている。ベルソンの演奏はこちらからどうぞ。

ベイカーは1966年にザ・フーのキースムーンとエリントン楽団を聴きに行った際に、そのドラマーであるサムウッドヤードが演奏しているのを見て即購入を決めたという。そのウッドヤードの演奏に興味がある方は、こちらをどうぞ。

ウッドヤードの1965年の華麗なドラムソロに興味がある方は白黒ですが、こちらをご覧ください。この時点でツーバス(Double Bass Drum)になっています。

本作品は、ジャズアルバムにしては珍しいシアトル近郊、ワイナリーもある自然豊かな地域にあるスタジオでの録音。その理由は間違いなく、ギタリストのビルフリゼールの拠点がシアトルにあるから。曇りや雨の日が続くシアトルの特有の澄んだ冬の空気感が感じられるでしょうか。

ベアクリークスタジオの外観

フリゼールもパットメセニーと同じくジムホールの愛弟子の一人。ではありながら、スタイルが全く異なるが、ユニークさを突き詰め、多様性を重んじて傾聴・調和するホールの姿勢という点は一貫した共通項と言える。メセニーの作品はこちらからどうぞ。

フリゼールのスタイルは、どことなくヨレヨレトーンのギタリスト、以下のガボールザボとシングルトーンを織り交ぜるスタイルや、間の取り方といったアプローチが似ているように思われる。

両者の共通項としては、9月に登場したテナーの巨人の一人、チャールズロイドに起用されている点。

録音としては、特に生音がノイズ少なく緻密且つ忠実に捉えられており、ドラムのシンバル音を追うだけでも、微妙な揺らぎがリズムに与えられていて、そこに、その場限りで二度と同じ演奏が生まれる事のないジャズならではの面白さの源泉が感じ取れる。録音が艶かしいアコースティックギターもまた然りで、シアトルで好まれる濃いコーヒーやエスプレッソのような、渋く味わい深い演奏が繰り広げられる。

本曲を手掛けたベースのチャーリーヘイデンはデュオ演奏を得意としており、キースジャレット、ジムホール、パットメセニーといった一流ミュージシャンとの録音を残していて、どれも聴きごたえがある。ハンクジョーンズとの黒人霊歌を取り上げたデュオ作品は以下。

ヘイデンは「ズーン」「ドーン」という太い音色と共に深い解釈と微妙な調和に基づく表現が、じわりじわりと心に染み入ってくる演奏スタイルが特徴。ご興味のある方は、以下のフリージャズの演奏もご覧ください。

最後に、シアトルとワシントン州にゆかりのあるミュージシャンに興味のある方は、こちらをどうぞ。

この記事が参加している募集

私のプレイリスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?