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今日のジャズ: 1月13-14日、1960年@ニューヨーク

Jan. 13-14, 1960 “This Here”
by Bobby Timmons, Sam Jones & Jimmy Cobb at Reeves Sound Studios, NYC for Riverside (This here is Bobby Timmons)

コールアンドレスポンスのゴスペルスタイルの楽曲と演奏で終始、作曲者であるピアノ奏者のボビーティモンズの個性が最大限に活かされたファンキーな楽曲。

ジャズを代表する有名曲、「モーニン」を作曲したのもティモンズで、これもまたコールアンドレスポンスのスタイル。

この演奏では、トリオ演奏というフォーマットもあって、コールとレスポンスを一人で演じていて、一人でボケツッコミするピン芸人のよう。

サムジョーンズによる、野太いベースの「ブンブンブン」、小刻みなリズムでノリを生み出す職人、ジミーコブによるドラムの「ツッツッタ」の間合いが絶妙に噛み合って、この曲のグルーブ感が生まれている。このトリオメンバーの共通項、黒人の魂、ソウルフルさの相性が奏功した形で、本作以降も複数枚のアルバムを残している。

この曲はティモンズによる玉手箱をひっくり返したようなジャグリング奏法が万華鏡的な展開を見せるのが聴きどころ。それが特に発揮されているのが、1:31からの次から次へと予期せぬカーブや落差が待ち構えるジェットコースターのような展開を見せるフレーズ。

1960年の録音で、このあと同年にナットアダレイの「ワークソング」という名盤やブレイキーの以下アルバム”Big Beat”に参加して快演しているように、この時期は特に充実している。

ティモンズは祖父が司祭ということもあり教会で弾いたという経験が、ゴスペル演奏スタイルに影響を及ぼしている。アメリカ東海岸のフィラデルフィア出身で、ピアノを教えた叔父には、同郷で三歳年下、コルトレーンの右腕となったスタイリッシュなピアニスト、マッコイタイナーも教え子だったとの記録がある。同じ黒人ながら演奏スタイルが異なるので共通項は見出し辛いが、鍵盤を打楽器のように叩くパーカッシブな奏法は、そう言われると、なるほど共通している。

このようなノリの良い楽曲からインスパイアされ、その後に電化され、七十年代のファンクジャズが確立されていく。

最後に、ゴスペル調のピアノに興味を持たれた方は、こちらもどうぞ。

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