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ジャズ記念日: 12月20日、1967年@ニュージャージーRVG

Dec. 20, 1967 “I Say a Little Prayer for You”
by Wes Montgomery, Herbie Hancock, Ron Carter, Grady Tate etc arranged by Don Sebesky at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ for CTI (Down Here on the Ground)

巨匠ドンセベスキーのアレンジによるオーケストラを従えた構成は、完成度が高く、誰が聴いても、音楽的にも演奏的にも味わえる一枚で、個人的には万人受けする学校の給食時に和やかに流れるBGMのイメージ。先に紹介した同路線の演奏は以下。

上記作品同様にハンコックとロンカーターがリズムセクションに加わっているが、決して手を抜く事はなく、ウエスを高度な技術で絶え間なく支えていることが本演奏の品質を高めている。

この曲の隠れ貢献者は、右から聴こえるグラディテイトの心地良く刻まれる歌心あるドラム。テイトは歌手もこなすから、そのようなメロディーに沿ったリズムを生み出せるとも言える。

ウエスは、他作品同様に難解な高速フレーズでも、余裕のある風格に溢れ、雄大で堂々とした旋律を奏でる。どれだけ凄いのか、本演奏で立証しているので、その理由は最後に記述する。

楽曲は、前月紹介の以下、本作の約二年前のガボールザボによるギター演奏と同じく、ポピュラーソングの大家、バートバカラックの手によるもの。

本作も同様にディオンヌワーウィックが歌ってヒット、ピークにはビルボード4位を記録したのは本録音月だから、如何に音楽チャートに敏感でタイムリーな選曲をしていた事が分かる。

本曲は、ポピュラーソングとしてカバーも多く、最近では、トリケリーとファレルウィリアムスがデュエットで取り上げている。

フュージョンの完成形を作り出してウエスモンゴメリーは1968年の6月に天に召されてしまい、本アルバムの次作が遺作となった。

改めてウエスのこの演奏を聴くと、前月の以下紹介曲を通じてジョージベンソンがウエスの後継者として、その路線の音楽を踏襲していたという事が分かる。

アルバム表題曲は、「ミッションインポッシブル」のテーマを手掛けたラロシフリンによるポールニューマン主演の映画「暴力脱獄」からの一曲で、ベンソンによるフュージョン屈指の名盤、”Breezin’”でも取り上げられている。ベンソンは本作でのウエスの演奏を意識して取り上げたのかもしれない。

以下、クインシージョーンズによる有名曲「ソウルボサノバ」にもピアニストとして登場しているシフリンに興味のある方は、こちらもどうぞ。

本作もCTIレーベルの典型的な、クリードテイラーのプロデュース、ピートターナーのアルバムジャケットの鉄板の組み合わせ。そちらにご興味ある方は、こちらの記事をどうぞ。

最後にウエスの凄さ、について。気付かれましたでしょうか。本演奏でのウエスは、お得意のオクターブ奏法縛り(一オクターブ離れた音を同時に弾く)で演奏しているのです。意図したものか分かりませんが、難しいことをいとも簡単にやってのけるのが天才たる証拠です。では最後に、これまでのウエスの紹介曲の幾つかをどうぞ。

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