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ジャズ記念日: 1月4日、1960年@ニュージャージーRVG

Jan. 4, 1960 “Mack The Knife”
by Jimmy Smith, Quentin Warren & Donald Bailey at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ for Blue Note (Crazy! Baby)

ギターを交えたオルガントリオ。オルガンとギターの相性は良く、それを定番化させたのはジャズオルガンの先駆者、このジミースミスの貢献によるもの。両手で旋律、足でベースを弾きながら、スピーカーもコントロールするという煩雑な技を最も簡単に簡単にこなしてしまうのが第一人者、スミスの凄さ。

左からギターの地味ながら堅実にリズムを刻むバッキング、右からブラシを使ったドラム、そして中央にスミスのオルガン。エコーの効いた場末風な音色で、小刻みに指を動かしてビブラートをつけながらの進行を経て、2:52からのグチャグチャフレーズが繰り出されるのは遊び心の塊か。

ドラムのドナルドベイリーは、タイトでメリハリの効いたスタイルでオルガンと相性が良く、特にスミスと長い共演歴を誇った。この頃のスミスの演奏は、洗練されつつも、若さもあってかハモンドオルガン特有の泥臭いコテコテ感と若干の荒さが感じられる。

収録時期が不明ながら本曲のスミスによる別演奏の映像がありましたのでご覧ください。特に3:23から真上のショットが興味深い。ドラムは本演奏同様にベイリーと思われるが、ギターも本演奏同様にクエンティンウォレンかは特定出来なかった。

ベースラインを追うと、所謂単体のアップライトベースとは若干異なる旋律と展開なのが面白く、旋律と合わせて一人オーケストラしている全体像を掴むと新たな発見がある。

曲はドイツ音楽劇『三文オペラ』の劇中歌。『モリタート』という名でも有名な曲。ルイアームストロングが1955年に取り上げて、ボビーダーリン(1959年)とエラフィッツジェラルド(1960年)がそれぞれグラミー賞を受賞してスタンダード化した。テレビのコマーシャルソング等で耳にした事のあるはずの、ご機嫌な曲です。

どちらの歌唱も高揚感が生まれて楽しくなる名演ですね。

さて、ジミースミスのファンキーなオルガンに興味を持たれた方は、こちらのアルグリーンの名曲のカバー演奏もどうぞ。ハモンドオルガンの歴史、マイケルジャクソンの名曲に登場している点についても触れています。

それから、スミスが定着させた、ハモンドオルガンに欠かせないレスリースピーカーの歴史については、こちらの渋いテナーサックスのリーダー作品紹介曲をどうぞ。

最後に、本アルバムと同じ”Incredible”の名の付いたウエスモンゴメリーのアルバムからの紹介曲をどうぞ。本作とほぼ同時期に制作されたジャズギターの名作で、以下の記事では他の1960年一月制作作品についても紹介しています。スミスとウエスについては共演作があるので、追って紹介します。

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