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海外渡航について(準備編)

かれこれ30年前から海外渡航を始めて、海外関連の仕事等で各地に渡った経験から、特に渡航を控える方の多いこの時期に参考になれば、とエアチケットや宿泊先の手配が終わっている段階からの渡航の流れを何回かに分けて、自らの備忘録も兼ねて幾つか記しておきます。

渡航時にストレスを極力溜めない、という価値観に沿って、効率的に手間をかけずに如何に身軽に快適に動くか、というのが自分のポリシーです。従いまして、この考え方に沿わない方は違和感を感じる部分があるかも知れません。その点はご容赦ください。

まず、出発前の準備、身支度が最も重要です。何故ならば、現地に入ってからの不自由がストレスやトラブルの元になる可能性が高いからです。

何を目的に何処に行くのか、泊まるのか、そこに辿り着くのか、頭の中でシュミレーションしておく事をお勧めします。

・目的: 何を成し遂げたいか明確ですか?
観光、留学や研修、仕事といった目的とその期間でビザの取得の有無を含めて支度内容が変わります。思考の整理もできるので、重要と思うものから順番に準備を進めて、機内持ち込みの要否の判断を行います。

・目的地と期間: 旅程は決まっていますか?
どの地域なのか、その季節、天候や気温なのか、滞在期間も服装とその量を選択する上で事前に確認が必要です。

・交通手段: 予め確定していますか?
空港までの移動、出発空港からの移動、乗り継ぎの有無、目的地の空港に着いてからの移動、目的をなす前に経る必要のある重要な要素です。特に個人旅行の場合は経路を確定しておくと安心です。

では事前準備からです。実は、ここが一番重要です。

1. 服装: 一般的な日本人の方の普段着は世界の大半の国で、平均以上の身だしなみです。フォーマルなレストラン等でジャケットが求められたり、短パンやジーンズ不可の場はありますが、大半の場所は普段着で入れます。むしろ普段着以上の服を着ると逆に目立ってスリ等の対象になる可能性もあります。海外では目立たない事が重要です。どうしてもジャケットやスラックスが無かったら現地で買う、レストランに借りるなどして現地調達するという選択肢もあります。状況に応じて着たり脱いだり柔軟に出来るシワになりにくい服の重ね着、つまり①肌着、②シャツ、③室内外で羽織れる長袖、④アウターをひとセットとして常時持ち運びするのが実用的です。これであれば一日の激しい気温差に対応出来ます。暑い国や夏の季節の国に行くから長袖が要らない、なんてことはありません。飛行機の中や、冷房が効いた施設の中といった気温低めの状況に備えておいてください。また逆に寒い地域や冬の季節の場合でも、大半の都市部であれば室内は暖房が効いていますので、逆に暑いケースが想定されます。加えて、寒い地域ならネックウォーマーと手袋、暑い地域なら扇子を加えます。古くなった服を持って行き、着終えたら捨てていって身軽にしていくのも一案です。海外に行くからといって新品を調達して身に付けて行くのは、目立つのと、慣れないために仕草がぎこちなくなるのでお勧めしません。靴も同じです。足元がおぼつかない渡航ほど厄介な事はありません。

2. 身支度: 身軽にしましょう。あったら良い物の大半は現地調達出来ますので割り切って置いていきます。重要なのはパスポート(有効期限が渡航期間以上、且つ6カ月以上ありますか?)、通信手段となる携帯電話とそのデータ通信、クレジットカードと幾ばくかの現金です。これらがあれば、大抵の場合、ほぼ何とかなります。パスポートについては顔写真のページの写真を携帯電話に収めておくか、コピーを一枚携帯しておいてください。これらを分けて保管する事で紛失時のリスクを分散させます。

・データ通信については、①携帯電話会社の海外プランを利用する、②携帯WiFiをレンタルして持っていく、という選択肢が一般的ですが、お勧めは、③携帯端末が対応していれば現地のeSIM利用です。割安且つ携帯WiFiの受け取りや返却の必要も無く、移動時もWiFi端末の携帯が不要で身軽です。eSIMについてはアプリで購入やインストールが比較的容易に出来ますのでサービスを予め選定して、そのアプリをインストールしておくと良いです。サービスによっては電話番号も付いてきて通話も出来ます。そして、携帯電話で必須なのは電源ケーブルです。行き先の電源コンセントの形状を調べて、そのアダプターとセットでお忘れなく。海外の電圧に対応している電源延長コードを持っていくと、複数台の充電に日本のコンセントで利用できるので重宝します。加えて長時間の外出に耐えられるように予備バッテリーを携行すると安心です。

・クレジットカードは、非接触決済やキャッシングが出来る利便性がありますが、諸刃の剣です。暗証番号を盗み取られて不正利用されたら基本的にクレジット補償の対象外となるので利用時には要注意です。その為、万が一のために①出発前に利用限度額を必要最低限の金額に設定しておくこと、②クレジットカードのアプリをインストールして利用時の即時通知と利用停止措置が出来るようにしておくこと、③不正使用時や限度額変更の為にクレジットカード会社の連絡先を控えておくこと(②と③は、先に記載した携帯電話での渡航時の通信環境確保が前提です)、をお勧めします。※この措置は、国内でも有効です

・海外旅行保険
携行予定のクレジットカードに付帯されているのか否か、付帯されているのであれば、その条件で十分か否かご確認ください。もし付帯されていない、或いは十分でないのなら、個別に海外旅行保険を付保してください。渡航時の病気や怪我ほど厄介なものはありません。そして、医療費は一般的に高額なので万が一のため、です。これら保険には日本語サポート窓口もあるのでいざという時に安心です。但し、歯の治療は対象外の保険が多いので不安がある方は、歯科治療費がカバーされている保険を選択してください。付保したら、そのポリシーと連絡先を携行するようにしてください。

・携行品
口に入れるもの、肌に触れるものは、相性があるので、現地調達せずに携行する事をお勧めします。コンタクトレンズ利用者は予備を眼鏡と共に、常用薬も多めに、そして万が一のために、常備薬一式(解熱鎮痛剤、総合胃腸薬、風邪薬、下痢止め、絆創膏、ワセリン等)を纏めて、常時持ち運びする前提でジップロックに詰めて持っていきます。その他、ウェットティッシュ、化粧類、普段使いの歯ブラシと歯磨き粉やシャンプーやリンス、整髪料等もこだわりがあれば持っていくと安心です(現地調達可能ですが歯ブラシの置きの無いホテルも増えています)。男性の髭剃りについては、電気不要で替刃が現地調達出来るT字型が身軽です。私は飛行機の中で使いそうな、ウェットティッシュ、ボディシート、化粧水、ハンドクリーム、ティッシュ、潤い目薬、使い捨てポールペンを、身の回りキットとしてジップロックで一纏めにして直ぐに取り出せるようにしています。

・情報
現地情報掲載サイトについては、そのリンクのブックマークを、ガイドブックは電子書籍の形で携帯に保存しておくと便利です。外務省の「たびレジ」に登録して、渡航先の大使館の連絡先を控えるのと、安全情報を事前に調べておくと安心です。

・アプリ類
先に記載したクレジットカード及びeSIMのアプリに加えて、地図、翻訳ツール、配車アプリ、ガイドアプリ等、予め出発前にインストールしておいてください。直接エアチケットを購入したのであれば、航空会社のアプリも加えてください(マイルも登録されます)。

・パッキング
中身が分かり小分けに出来て口が塞げるジップロックがお勧めです。上記携行品、化粧水等の液体類、電源ケーブル類、それぞれに一つずつ小分けにパッケージします。衣類等もシャツや下着といった単位で纏めてビニール袋に分けて入れておくと着いてからの対応が楽です。因みに、重量はエコノミークラスで大体20kgが目処です。飛行機の搭乗時にチェックインする荷物は、同じ便で届かなかったり、最悪の場合、紛失する可能性もありますので、無くなっても致命的にならない物を選んでください。スーツケースは、車輪をストップ出来る機能があると移動時にスーツケースが一人歩きしないので便利です。

一方、機内持ち込みする荷物は厳選が必要です。私の場合は以下。

- コンタクトレンズの予備と眼鏡(潤い目薬)
 ※機内は乾燥する場合が多いです
- 上記の携行品(常用/常備薬セット)
- 羽織るもの(軽くて洗えるナイロンのパーカー)
- グルーミングセット(ウェットティッシュ、ボディシート、マスク、ハンドクリームやリップクリーム等)
- 旅程を保管した携帯電話と電源類
- 使い捨てボールペン

これらを、鞄、たすき掛けバッグか両手が自由に出来るリュック、脇に挟むトートバッグ(チャック付きが望ましい)等に入れて機内のみならず現地入り時の携行セットとして利用します。

要注意は液体類です。チェックイン荷物には容量制限がありませんが、機内持ち込みする容量には制限があるので、必要に応じて事前に小分けしておいてください(100円ショップの小型容器が便利です)。

出典: 成田空港セキュリティガイド
機内持ち込み液体類は纏めて20cm x 20cmの
ジップロックに入れる

3. 旅程: ストレスを溜めない移動をする為には、移動経路が明確になっていて途中で迷わない事、立ち止まる時間を減らす事です。その為には、出発前に調べて旅程を決めておく事をおすすめします。

・ 移動
現地に着いてから彷徨わなくて良いように移動手段、その乗り場所と行き先、その金額を事前に調べておいてください。現地に着いて、利用する際の判断材料とします。それに合わないものは怪しいので利用を控える為です。

・観光目的の個人旅行の場合
スケジュールは詰め込まずに余裕を持たせておいてください。日本での日常のように全ての物事が円滑に進むケースは稀という前提で臨むのが心構えとしては正しいです。

・旅程情報
宿泊先とその予約情報を含めた情報はプリントアウトしておくか、携帯電話に保存して常に携行出来るようにしてください。

最後に、よくやってしまうパターンを記載しておきます。大抵の場合は現地でなんとかなりますが、回避できるに越した事はありません。こんな事にならないように注意してください。

  • 体調を崩したが保険に入っていなかった

  • 眼鏡がない、コンタクトレンズの予備がない

  • 電源コードかアダプターを忘れて充電できない

  • ベルトを忘れてズボンが落ち着かない

  • イヤホン、マウスを忘れた

さて、ここまでが事前準備編になります。個人の経験に基づく独自の観点で記載していますので、様々なご意見もあるかと思います。ストレスを溜めない渡航を実現する為に、より良いアイデアがあれば是非ご教示くださいませ。

次は、出発編を手掛けます。

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