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今日のジャズ: 1月29日、1963年@ニューヨーク

Jan. 29, 1963 “Now’s Time”
by Sonny Stitt, John Lewis, Jim Hall, Richard Davis & Connie Kay at Atlantic Studios, NYC for Atlantic (Stitt Plays Bird)

リーダーのアルトサックス奏者、ソニースティットの演奏は、モダンジャズの始祖、チャーリーパーカーと瓜二つと言われていて、開き直ってパーカー作曲作品に徹したのが、このアルバム。似ているとはいえ本人では無くいのでフレーズの閃きや煌びやかさで比較してしまうとパーカーには及ばないものの、アルトサックスの鳴りの大きさと勢い、構成は、やはりパーカー譲りでメロディーがとめどなく溢れ出てくる。

対照的なリチャードデイビスのうねりあるベースの鳴りと重さが錨のように中央に配置されて演奏の安定感とスイング感を醸し出している。そして趣の異なる上品で軽快なトーンのピアノのジョンルイスとドラムのコニーケイは、タキシードを着てジャズを上品に演奏するモダンジャズカルテットのメンバーで、この両極端な組み合わせのマッチングが妙。その間でジムホールのギターが機械仕掛けの歯車のようにスティットのアルトに絡みつく。

右にピアノ、左にギターが配置されて、よく聴くとパックグラウンドでジムホールがフォービートのリズムを刻んでいることがわかる。ピアノとギターが伴奏に回ると音が重なるので演奏が難しくなるが、大人な二人は干渉しないように音域を分担することと控え目な演奏で干渉しないようにしている事が伺える。

ちなみに、一月の本作紹介までに、繊細で哀愁の漂うルネトーマ、シングルトーンでアーシーに推して行くグラントグリーン、スタイリッシュでブルージーなバレル、ダイナミックでスリリングなウエス、そしてこの自由自在なホールという個性豊かなギタリストが登場しているので聴き比べると興味深い。

曲はパーカー作曲のスタンダード。このアルバムジャケットのスティットを描いた抽象画は、コルトレーンのジャケットも手掛けたマービンイスラエルが描いている。それぞれの肖像画とはいえ個別に見ると瓜二つ。しかしながら二つ並べて本人写真と比較すると、それぞれが誰なのか見分けがつけられる。いずれにしても印象に残るアルバムジャケット。出来るだけ肖像画と本人が合っている写真を選んでみたが、どうだろうか。

スティット

1963年6月10日収録作品

コルトレーン

1957年9月15日収録作品

肖像画を描いたイスラエルの詳細は、こちらの秀逸な詳細記事をご参照ください。

そして、本作は1月8日に紹介した以下ケニーバレルの作品から僅か三週間後の作品で、同じく米国東海岸の録音だから、選曲やミュージシャンの組み合わせ、録音等のレーベルの個性が比較出来る。

最後に、パーカーに興味を持たれた方は、こちらの紹介曲をどうぞ。カンザスシティ出身ミュージシャンについても触れています。

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