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ジャズ記念日:11月19日、1978年@ロンドン

Nov. 19, 1978 “In Your Own Sweet Way”
by Joe Pass & Niels-Henning Orsted Pedersen at Chappell Studios, London for Pablo (Chops)

名手(バーチュオーゾ)二人によるデイブブルーベック作曲のスタンダード曲の演奏。ジョーパスのギターによるソロと伴奏を自由自在に行き来する名人芸と、そこにデンマーク出身の超絶技巧ベーシスト、ペデルセンによる速弾きを交えた息の整った絡み方が聴きどころ。

オスカーピーターソンの長年の相棒で、モダンジャズベースのレジェンド、レイブラウンの後任を務めたペデルセンは、アップライトベースでギターソロ並みのフレーズを悠々と弾いてしまう程で、何をするにしても性急さが無く余裕があって技術のひけらかしにならない凄みがある。

八月のジムホールとロンカーターとのデュオ演奏と比較すると、どちらかと言うと雰囲気で聴かせるカーターと、テクニックで推してくる本作ペデルセンとの演奏アプローチの差分が聴き取れる。

ペデルセンには類稀なテクニックがあって、リズムもピッチも正確無比。対極的なのが、上記のロンカーターで、演奏では全体の包括的な雰囲気を醸し出すものの、若干心許ないピッチコントロールのモヤモヤ的な甘さがある事が多い。どちらが良いか、という事はジャズには無くて、それもまた個性で人それぞれの好みと言える。

一方、非の打ち所がないペデルセンは、上手くてミソをつけないが、あまりにも真面目、几帳面過ぎるのか演奏自体に面白味が少ないという側面もある。

ここでのペデルセンは、デュオで自由度が高い事と、ジョーパスという伴奏の名人と組む事によって、遊びの余地が多いことから刺激的な演奏を展開している。録音は欧州に演奏の拠点を置いたペデルセンに引きずられる形かロンドンにあるスタジオでの収録。音は80年代一歩手前という事からか電化の影響を受けてから中音寄りで若干軽めに浮いた感じがするのが時代を反映している印象。レーベルは、このメンバーにピーターソンを加えたトリオ作品も輩出しているパブロ。

別曲だが、このデュオによる演奏のライブ映像があるので、ご興味のある方は是非ご覧ください。この映像だけを見るとジョーパスがマイペースで弾いて、それにペデルセンが合わせて、お互いにインプロバイズしていくというスタイルのように見受けられるが、それもペデルセンの超絶技術があってお互いに分かった上で成立している組み合わせと言える。

この二人にピーターソンが加わった演奏の映像も残されているので、そちらもどうぞ。バーチュオーゾ三人による演奏には圧倒されますね。

さて、これまでの紹介曲と同じアルバムに含まれる本曲の演奏があるので、以下の通り列挙したい。先ずは、帝王マイルスデイビス


そして、ジャズギターの巨人、ウエスモンゴメリーのデビューアルバム

更に、ペデルセンと同じ欧州出身の技巧派ベーシスト、ミロスラフビトウスが含まれるピアノトリオ演奏

最後に、ジョーパスのエラフィッツジェラルドとの同レーベルのパブロによるデュオ作品をどうぞ。ペデルセンもデュオの名手で幾つか作品を残しているので、追って紹介していきたい。

今週も大変お疲れ様でした。

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