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小さなリーダーシップについて

「ヤフーの1on1」の著者である本間さんの二度目のSHCの講義は、「スポーツ組織のリーダーシップ」について。

”自分にあったリーダーシップを見つけること”が本講義の目的ですが、僕としては講義内で議題に挙がった「小さなリーダーシップ」が印象に残っています。


よくリーダーシップというと、カリスマ的で崇拝されるような特別な能力を思いがちです。

このリーダーシップは、例えば、”Yes, we can”や”I have a dream”のメッセージを繰り返し発して、国民の支持を得たオバマ元大統領とかキング牧師、日本でいうと、多くのビジネス本の対象になっていて、今も成長しているソフトバンクの孫社長をイメージします。

ちなみに、「リーダーシップの旅」という本では、リーダーシップは3つのステップがあると述べています。

はじめの段階はリード・ザ・セルフ。

まずは、自分自身に変化を起こすこと。自身の内なる声に素直になり、自分は何者なのか、存在価値を問いかけて新しいことに進んでチャレンジすることからリーダーシップは始まります。

次の段階はリード・ザ・ピープル。

自身のチャレンジしている姿に共感した第三者が、フォロワーとして自分についてくるようになること。自分が持っていた夢、目標、ミッションはフォロワーも自分のことのように追うようになり、彼らと思いがシンクロし、社会的なつながりが生まれます。

最後の段階はリード・ザ・ソサイエティ。

フォロワーが地域や、時には国境を超え、社会の価値観に影響を与えていくこと。冒頭で挙げたオバマ元大統領、キング牧師はこの段階の特徴的なリーダーだと思います。

リード・ザ・ソサイエティのレベルのすごい”リーダー像だと、自身の強烈なビジョン、影響力でどんどんフォロワーがついてきます。

そして、フォロワーがついてきやすいので、よくリーダーシップ論やビジネス書の対象になります。

彼らを目標にして、自分はどうすれば理想的なリーダーになれるのか、どうやって周りをついてこさせるか、と考えがちですが、それで偉人的なリーダーシップを発揮できるようになった人っていないと思うのですよね。

彼らのような特異なリーダーシップを学び、身につけることはできるのか、そもそも、そのレベルまでのリーダシップを身につけることに意味があるのかという疑問があります。


僕たちにとって本当に必要なことは目の前の人達をいかに同じ方向に向けることができるか、いかにチームの成果に関与させることができるか、といった現実的なリーダーシップ、キング牧師のような大きなリーダーシップと比較した、小さなリーダーシップです。

その時にやるべきことは、自分のビジョンを掲げるよりも、フォロワーに徹底的に寄り添うこと。

近年は管理職に該当する人がプレイングマネージャーであること、価値観が多様化していること、各々に深く関与するとハラスメントと捉えられてしまうことなどから、リーダーシップを取ることの難易度が高くなっています。

特にスポーツ業界で働くひとは、それぞれの課題意識、目的意識があって、”お金を稼ぎたい”だけではない理由で働いている人たちが多くいる業界です。

そのため、”I have a dream”と叫んで、同じ価値観で周りのメンバーをまとめることがとても難しいんです。

そこで意識しなくてはいけないことは、自分がどうなりたいか、ではなく、理想的な組織になるために自分に何ができるのかというマインドチェンジです。

自分のビジョンの力でフォローしてくれるように期待するのではなくて、フォロワーに寄り添って、彼らの目的は何なのか、彼らが何に動機づけられるのか把握し、地道にサポートしなくてはいけません。


以前、「採用基準」という本を読んでいて、そこで述べられていたリーダーシップ論が個人的には好きです。

もともと僕は、リード・ザ・ソサイエティができるような組織のトップこそリーダーシップだと思っていたのですが、ここでは「自分の役割について主体的に判断、行動し、チームを成功に近づけること」がリーダーシップであると述べています。

今回の講義であった小さなリーダーシップもこれと似ているような気がしていて、リーダーシップは後天的な要素で、自分の意識次第でいくらでも身につけられるものなのかなと考えています。

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