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人事の問題を考える(人的資本可視化指針)

■人的資本可視化指針

人的資本の可視化が義務付けられ始めている。
いわゆる伊藤レポートを受けた形になるが、人的資本の可視化の義務化が進められている。

○内閣官房非財務情報可視化研究会(第6回(2022年6月20日))資料

2.4. 開示事項の類型(2類型)に応じた個別事項の具体的内容の検討

⚫ 人的資本の開示を含むサステナビリティ関連情報の開示においては、制度開示で要請されている事項や、国内外の開示基準等に位置づけられている各開示事項に個別に対応していくアプローチが採用されがちである。
⚫ しかし、人的資本への投資とその可視化、投資家等からのフィードバックを通じた磨き上げを循環的に進めていくためには(1.2.)、①まずは、自社の経営戦略と人的資本への投資や人材戦略の関係性(統合的なストーリー)の検討(2.2.)を行った上で、②「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの要素をベース(2.3.及びコラム④)として具体的な開示事項を検討することが、効果的かつ効率的なアプローチである。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sustainable_sx/pdf/007_05_00.pdf

読み応えがある資料だが一読を勧める。
こうした可視化の背景にあるのは投資基準だろう。
投資家に対して適切な情報開示は、例えばESGやSDGsなどガバナンスの体制や環境への取り組みなどに続いて、組織のパフォーマンスを維持できるのかの判断材料として人的資本に着目することになっているのだと思われる。

この問題が、ESGと流れの中で議論されることは自然なことだと思う。

○人的資本、開示指針が明らかに
男女間賃金格差、女性管理職比率など開示を義務化
2022.07.18

内閣官房は2022年6月20日、「人的資本」可視化の指針案を公開した。人的資本とは、従業員などの人材を企業価値を生む投資対象と捉え、人事制度や施策を講ずる考え方だ。草案への意見募集を経て7月下旬から8月上旬を目途に指針を公表する。

https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/071200235/

■バランスドスコアカードと人事部の責務

企業のパフォーマンスを測る指標として財務的な視点だけでは不完全であり多面的な指標が必要だと言うことは指摘されており、その代表格はバランスドスコアカードだろう。キャプランがはじめて指摘した頃は、財務、業務プロセス、顧客、学習などが代表格であったが、市場はより具体的で広範な指標を求めていることが分かる。

バランスドスコアカードは経営マターの話なので、経営企画部あたりが考えれば善いと高をくくっていたのであれば人事部の認識が低い。すでに人事部は戦略的な位置づけになっていなければならない。ただ言われたとおりに、給与計算や採用事務を代行するだけならその存在意義はない。

人事部は人事部だけのことだけを考えていれば善い時代は終わっていると思っている。組織の長期戦略の中で、高度な人的資本の蓄積の責任をどう果たすのか?
 今回の「人的資本可視化指針」を契機に考えて欲しい。

■部分最適ではすまない

業務として「社員意識調査」の支援をしている。その中で以前から危惧しているのは「社員意識調査」が目的化していることだ。何を解決するのかと言うことを明らかにしない調査は現状を示すが、その現状が知りたい現状なのかが保証できない。
 調査をすれば良いというのは、調査という枠組みでの部分最適になる。
 いや部分最適にすらなっていないかもしれない。
 戦略の中での位置づけで人事部門の活動を見直して欲しい。

■おまけ

ISお9001では、規格要求事項に「人々」がある。
企業の中核は人々である。
あらためて人々をないがしろにしない経営をして欲しい。

<閑話休題>

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