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なにげなニュース:号令をかければDXは進む訳ではない(電子処方箋の普及率の低さが示すもの)

利用者目線でシステムを作ること。データベースの基本機能「登録、変更、削除、検索」がないシステムは欠陥である。

■無計画なデジタル化政策

政府がいくら旗振りしようが、メリットがなければ普及はしないという証左のような記事がある。

○電子処方箋、導入わずか2% 運用半年、実績伸び悩む―厚労省「目標達成、厳しい」
2023年07月16日

同省によると、今月2日時点で全国に約23万ある医療機関・薬局のうち、導入済みは2%の4690施設。内訳は9割が薬局(4229施設)で、医療機関側は461施設(医科診療所423、歯科診療所24、病院14)だけだ。

導入を見送っている鳥取県の病院担当者は「補助金も受けられるが、経費負担が大きい」と指摘する。複数の病院に通っている患者への重複処方などを防げるなどの利点が病院や患者側に十分伝わっていないといい、「義務でもないため急ぐ必要はなく、様子見をしている状況だ」と分析した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023071500234&g=soc&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit

普及させるためには、十分な動機付けがなければならない。それを無視すれば反発を招く。
その典型例は、河野デジタル大臣が思いつきで進める、マイナンバーカードと保険証の一体化であろう。

保険証と一体化すること自体が問題ではない。従来の保険証を廃止するという発想がめちゃくちゃである。そのために、皆が右往左往している。

資格確認書は意味不明である。

○<Q&A>どうする?私の健康保険証 マイナ保険証と資格確認書、何が違うの?解除や再登録はできる?
2023年8月11日

政府が公表したマイナンバー総点検の中間報告で健康保険証とのひも付けミスが新たに判明し、マイナ保険証の運用に不安が高まっています。岸田文雄首相は来年秋に現行保険証を廃止する方針を堅持していますが、当分の間はマイナ保険証の未取得者に代わりとなる資格確認書が交付されるため、事実上、2種類の「保険証」が併存することに。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/269438#:~:text=Q 個人情報流出へ,再登録もできます。

■保険証廃止への批判

こうした批判を口にする人々の声は新聞記事などにも出てきてる。

○今の保険証を残せばよい話ではないか マイナカードで「トラブルゼロ」は困難
2023年8月4日

「政府には国民皆保険制度を維持するつもりがあるのかどうか。制度の根本をなすのが健康保険証なんです。それを無くそうとしている。代わりに作ると言っている資格確認書については、まだ何も詳しいことは正式に決まっていない。これ、あまりに無責任じゃないですか」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/267300

○「国民に選ばれるマイナ保険証にする」と岸田首相は言うけど…医療関係者は「トラブルは解決しない」
2023年8月5日

岸田文雄首相は4日、官邸で記者会見し、来年秋に健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一体化する方針を当面維持すると表明した。保険証に代わる「資格確認書」をマイナ保険証を持たない人全員に交付し、有効期限を最長5年に延ばすなど見直し策も示した。資格確認書は実質的に保険証と違いがなくなるが、発行に事務負担や費用もかかる。点検作業の状況次第で保険証廃止の先送りにも含みを持たせたが、一時しのぎの対応では国民不安の払拭は難しく、医療関係者から批判の声が上がる。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/267972

■マイナ保険証の欠陥

当たり前の話ではあるが、同じ保険証をずっと使い続けることはまずない。学生の時に国民保険であっても、就職すれば企業の健保組合に入る。転職すれば健保組合が変わるかもしれないし、一時的に国保に入ることもある。

また、70歳にあれば高齢者保険に入る。
今のシステムではこうした変更管理ができない。マイナポータルには以下の記載がある。

Q:マイナンバーカードの健康保険証登録は削除できますか。
A:マイナンバーカードの健康保険証利用の登録削除はできません。
https://faq.myna.go.jp/faq/show/5085?category_id=26&site_domain=default

システムが欠陥であることがよく分かる。
そもそも、レセプトなども手作業で行なっている現実からすれば、まずは自動化すべきことがあるはずである。

■そりゃそうだという記事

残念ながらタブロイド紙の記事なので公式かどうかは不明だが、類似した記事がいくつか出ている。

○「マイナ保険証」登録後に解除可能へ…ゴリ押し河野デジタル相に厚労省が“NO”のクーデター
2023/08/12

現行のルールでは、いったんマイナカードに健康保険証の利用登録をすると解除できない。ところが、総点検本部の資料では〈一度登録した後も、マイナ保険証の利用登録の解除を可能とし、資格確認書を交付〉とある。厚労省に聞いた。

「いろいろな指摘をいただき変更することにしました。もともとマイナ保険証の利用登録は任意である以上、登録を外したい方は解除できるようにすべきと考えました。いったん解除した後、再び利用登録をすることも可能です」(医療介護連携政策課・保険データ企画室)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327421

もっとも、すでにマイナカードの読み取り装置を導入したクリニックも多いだろう。
彼らの経済負担はどう考えるのだろう?

最近は動向が分からない河野大臣はどう応えるのだろう。幼稚な彼はだんまりを決め込むのか。

<閑話休題>

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