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戦略人事:アウトソースという概念からの脱却(個人事業主に対する関わりの強化)

■なにげなニュース(1)

○「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」の報告書を公表します
労働基準局安全衛生部計画課
令和5年10月27日(金)

労働者以外の個人事業者等についても業務上の災害が相当数発生している状況等を踏まえ、個人事業者等の業務上の災害防止を図るため、災害の実態把握や、災害防止のための安全衛生対策について、厚生労働省の「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」(座長:土橋律 東京大学大学院工業系研究科教授)において、検討が行われてきたところですが、本日、検討会の報告書がとりまとめられましたので、公表いたします。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36009.html

同サイトに示されている資料には以下の記載がある。

・労働者と同じ場所で就労する者(個人事業者、その他の作業者)は、自身の安全衛生確保に加え、同じ場所で就労する者に危害が生じないよう、必要な事項を実施する

・注文した仕事に係る作業場所や作業方法から生ずる災害リスクを管理することが可能である注文者が災害リスクに応じた措置を講ずる

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001161090.pdf

実際の運用は藻委少し制約のあるものであろうし、本来の主旨が実装されるかは分からない。それでも、メッセージは明らかであろう。

外部委託したとしても、それが自社の製品サービスに関わるのであれば、彼らの働き方にも責任を取れということだと認識している。すなわち、外注が事故を起こしても知らん顔をするなということで有り、事故が起きないように責任を持って管理しろと云うことである。

おそらくは、まずは「建設業」を意識していると思うが、これも下記の動きと無関係ではないだろう。

○建設現場へ集中指導を実施 労災増加傾向で年末年始に 東京労働局
2023.11.27

 東京労働局は、年末年始の繁忙期を捉え、労働災害防止へ向けたSafeWork推進強調期間を開始した。労災件数が増加傾向にある建設業に対して、今後、労働基準監督署が管内の建設現場に集中指導を実施する。

https://www.rodo.co.jp/news/169177/

■なにげなニュース(2)

○アルコール検知器のチェック義務化 怠った場合は50万円以下の罰金も
2023年11月30日

道路交通法の改正で社用車を一定台数以上使う事業所は、1日から原則運転の前後にアルコール検知器によるチェックと一年間、その結果の保存が義務化されます

県警によりますと、大分県内では1日から新たにおよそ4300の事業所が対象になります。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/obs/866612?display=1

こうした規制の上限(社用車を一定台数以上使う事業所)というのはいずれ無くなり、適用が拡大されるだろう。飲酒運転だけでなく安全管理の側面で、個人の運送業者の問題も時折問題視される。こうした問題に波及するかもしれない。

■人事部の役割

人事部門の役割として以下が挙げられている。

法令遵守と規程:
労働法や関連する法令に基づく規程やポリシーが人事制度で明確にされ、遵守が確保されます。

対象は自社の社員に限定されていることが多い。しかし、これでは狭すぎる。なぜなら、自社の製品サービスを支えるステークホルダーは、社員(正規・非正規)だけで無くビジネスパートナーも含むからだ。全包囲で対応することが求められる。

アウトソースだからといって、その安全管理や労務管理に無関心できることは許されなくなる。
・日本橋の建築資材の落下事故
・トラックなどの追突事故
・配達員の交通事故、飲酒運転
などは、いずれ発注者側の責任を問われる社歌になるだろう。

そうしないためには、人事部門はビジネスプロセスの運行上での人に関わる問題には全て関与しなければならない。

そのためには、人事部門の権限を拡大しなければならない。その文脈の中でCHROの重要性が議論されるだろう。

■有料サービスの可能性

働く人について云えば、健康管理や法令に基づく労務管理は必須であるが、小さな事業所や個人事業主にはそれを管理するノウハウはない。IT機器の挿入にしてもそのコスト負担は難しい。

彼らが健康管理や労務管理(残業時間規制への対応)をしないといっているのではない。やらなくても支障が無いと判断して疎かになっている恐れがあると言うことだ。特に、働いてナンボと思っている人たちは無理な労働をする恐れもある。また、何らかの不満を持ちながら仕事をしている恐れもある。

○荷物たたきつけ動画がネットに 従業員「猛省」
2016/12/26

本社・京都市)の男性従業員が配送中の荷物を地面にたたきつける動画がインターネット上に投稿され、同社は26日、毎日新聞の取材に事実関係を認めた。従業員は同社の調査に「いろいろなことにいらいらしていた。猛省している」と話しているという。

https://mainichi.jp/articles/20161227/k00/00m/040/087000c

社員だけでなく、パートナーまで含めた人に関する管理を自社のコントロール下におく方法を模索しても良いのではないか?
全てを自社できないというなら、第三者に委託することもあり得る。

株式会社「人事部」はむりだろうか?

(2023/12/06)

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