両耳でイヤホン
むすめはとても繊細で
雑なところもあるけれど
どうやら私に似て感覚過敏なところがある。
まだ6歳だというのに
赤ちゃんの頃の写真をみて泣きそうになっていた。
「不安になった‥。戻りたくなるから‥。」
そうつぶやいて泣きそうになっている。
前歯が抜けたから情緒不安定なのだろうか‥
明日の学校が嫌なのか‥
あかちゃんがえりか‥
きみきみ
ノスタルジックになるには早すぎる!!
そんなことより床に置きっぱなしの物を片付けなさいだの、いい加減寝ないと病気になるわよだの、口うるさくいうことでどうにか現実に引き戻しながら寝かしつけた。
そしていつものように片耳だけワイヤレスイヤホンで宇多田ヒカルを聞いていた。
子供が生まれてから、寝かしつけたあとは子供になにかあったとき気付けるように片耳だけで音楽や映画を見ている。
寝かしつけたあとは唯一の私時間。
昼間は昼間でやることがあって、
シナぷしゅだのなんだのと、
自分の音楽はなかなか聞けないし、子どもと一緒では自分の世界にも入り込めない。
今夜も片耳で宇多田ヒカル。きめこもうと意気揚々につけたら「Battery low」と冷たいアナウンス。
待ってられないとノンワイヤレスイヤホンを引っ張り出して右耳につける。
そして寝室の脇で子どもたちを眺めながらなら両耳で聞いても大丈夫だろうと、ちょーーーーーーーう久々にそっと左耳にもイヤホンをさしこんだ。
両耳でイヤホンなんて、そんなことしていいのだろうか‥と考えるまもなく、
すーーーーーーーっと宇多田ヒカルが両耳から五臓六腑に染み渡って血液に乗って全身に流れ込んできたではないか!!!!!
このなにかの付属品だった安いイヤホンが
劇物のように宇多田ヒカルを全身に打ち込んでくれたのである‥
なんともいえない音楽の中の余白の美、宇宙の広がり、哲学の森に誘われ、子どもたちを眺めながら、死んでしまった友人や祖父母や、一昨日あったばかりの生きてる父や母にまで思いを馳せ、夫にもっと優しくしよう、子どもたちにとって最良の母親でいられているのであろうか‥
短時間で一気に心のツボを押されて、毒も出るわ涙も出るわで癒やされるどころか琴線に触れまくりんぐで鼻炎は悪化。
まさか両耳のイヤホンで聞く宇多田ヒカルがここまでだったとは恐れ入った‥
感覚過敏の私は片耳程度にしておかないと育児どころではなくなってしいそうだ。
うっかり夜中にポエマーになりかけたが、ここに書くことで正気を保てそうだ。
ついでに2日坊主にもならず、なんとか3回目の記事も書けた。
素晴らしい夜だった。
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