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Nadaraka cycling club をつくるまで #5

「なだらかな坂を上ったり下ったり
変化を受け止め、自由な自転車活動を」
Nadaraka cycling club をつくるまでの
プロセスの記録


迷いと直感

自転車競技「シクロクロス」に私もエントリーしたのは、
39歳になった頃。ちょうど今から10年前。
スポーツに縁がなく、体力に自信もない。
突然走って大丈夫なものなのか?
遅すぎて迷惑をかけないものか?
未知だった。
出ると決めた後も迷いがいっぱいだった。

コースを走り抜けるのは、一体どんな気持ちなんだろう。
車、歩行者、信号に注意しながらの日常と違って、
前に進むことだけに集中できるのは、どんな感覚なんだろう。
観ている人が応援してくれたりもする。

やっぱり楽しそう!
走ってみたい!

ただ直感にしたがうことにした。

まずは深緑色の自転車で

専用のレースバイクが無かったので、まずは手持ちのもので。
京都へのグループライド豊橋への1人ライドを共にした、
お気に入りの深緑色の自転車。
夫がその時できる最善の状態にセッティングしてくれた。

その当時私は全く理解できていなかったのだが、
タイヤサイズは26インチと、小さめ。
旅に適したそのフレームは、レースで担ぐには相当な重さ。
けれど、1ヶ月後に即実行に移すことができたから、
本当によかったなぁと思う。

二つの初レース!

岐阜県の各務原で行われた東海シクロクロスと、
長野県の滝沢牧場で行われた野辺山シクロクロスに
続けて出場した。後者は雨コンディションだった。

どちらもとても過酷だった。
ホイッスルが鳴って一斉にスタートすると、
どんどん追い抜かれていく。
自分の中では最高に頑張って足を回しているのに
全く追いつかない。
そんなことは分かっている。遅いことなんて重々承知だ。
なのに、焦りが出てくる。
出るのやめとけばよかったーなんて後悔して、
泣きそうになる。
いやいや、自分で決めたんじゃんと
前に進むことだけに集中する。

すると、焦燥感が薄らぐ瞬間があった。
何周か同じ場所を通るので、
最初より上手く曲がれたな、とか。
次は体重のかけ方を意識してみようかな、とか。
単純に走っていて心地よい土区間だな、とか。
他の誰かとの比較ではなく、
自分の中での達成度。

そして時々
家族や自転車つながりの人々の声が聞こえる。

今までに無い、
不思議な体験だった。

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