見出し画像

技能労務職の採用選考を受けた(1次試験)

※見出しは東京都「技能労務職員等の給与等の見直しに向けた取組方針」から。

2.12.19追記

受けていた別自治体についても、1次に合格していた(辞退予定)。こちらの方は9割程度正答の自信があったので、とりあえず8割以上取っておけば1次は通るということになると思われる。

2.12.10追記(2.12.18修正)

体感で正答率8割程度だったが、1次試験に合格していた。ただし、併願先に合格したので2次試験については辞退した。

その他別自治体の受験レポを簡単ながら追記。

2.11.15追記修正

「受験体験記や試験問題に関する詳細な情報は乏しい。」としたが、受験後にググったところ以下の記事を見つけた。

試験問題が9題ほど掲載されているが、体感として難易度は概ね変わらない印象を受けたので、具体的な問題の内容、難易度の感触について知りたいのならリンク先記事を読むことを勧める。

その他誤字、表現を修正した。


1 はじめに

「技能労務職」(「現業職員」とも呼ばれる。)という語句を聞いたことはあるだろうか。これを聞いて「行政職俸給(給料)表(二)」だとか、「関西方面における技能労務職の給与に対する批判」というトピックを連想した人間はこの「はじめに」を読む必要はないと思うので読み飛ばしてもらいたい。

技能労務職とは、公務員の中で定型的で、かつ非権力的な業務を行う職員のことである。こんなことを言われてもイメージを掴みづらいだろうが、公立学校の調理員やごみ収集員などを想像してもらいたい。定型的で、権力の行使(警察官や自衛官に限らず、許認可権なども行政が持つ権力の一環である。)を伴うものとはいえないだろう。こうしたイメージから、公営の交通局職員なども含まれるのかと思いきや、こうした職員は公営企業職員として、また別の枠組みで区別されるらしい。

このあたりの分類については、下図の総務省が作成した資料がわかりやすい。

キャプチャ

どうやら厳密には「単純労務職員」というらしい。すでに失効した、単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令(昭和26年政令第25号)に由来してこう呼ばれるようだが、広く「技能労務職員」と言われるのは、「単純」が侮蔑的な意味合いを含むという配慮によるものと思われる。

このような定義を持つ技能労務職であるが、例示した業務内容からわかるように、公務員である必然性が高いかというとそうでもない。調理や清掃、その他の自動車運転手や守衛業務についても、民間で代替可能であるという考えによって行政全体の定員削減の影響をもろに受け、新規採用凍結、既存職員の一般行政職への任用替えなどが相次いだ結果、平成6年時点では31万人以上いた地方自治体の技能労務職は、平成31年時点では約9万6千人になり、20万人以上の人員削減がなされた。

先述の通り平成初期においては多数の技能労務職を任用していたため、自閉症と知的障害を持つ男性が採用選考に合格し、採用された事例も存在したが、現在になっては3分の1未満にまで職員数が減っている状況で、狭き門になったといえるだろう。

しかし、採用数がかつてに比べて大きく減ったとはいっても、現在でも技能労務職の採用選考を実施する自治体がある。とはいえ、採用数は少ないため、その受験体験記や試験問題に関する詳細な情報は乏しい。一応noteで過去に出題された問題一覧が販売されているが(私は購入していないため、当該記事の正確性は保証しない。)。

ということで、受験を考える各位の参考とするべく、今年度某自治体で実施された技能労務職採用選考の受験体験記を記していきたい。この記事を書いている時点では合否はまだ出ておらず、2次試験までカバーできるかはわからないので承知されたい。


2 第1次試験

 (1)受験者数

受験番号と当日の会場の状況をみるに、申込者数は約50名、そのうち欠席者は20名ほどで、当日受験したのは30名あまりであった。

 (2)教養試験

私が受けた選考の1次試験は、以下説明する教養試験と作文試験で構成される。念のため申し添えておくと、1次試験段階ではスーツで来る必要はない。私服でよい。

教養試験は、五肢択一式20問、60分で実施される。内訳としては、以下の通りであった。

政治経済 4問(憲法3問、税制度1問)

地理 1問

国語 3問(古文読解1、文章の並べ替え1、現代文穴埋め1)

英語 1問(会話文穴埋め)

判断・数的推理 5問(数的2、判断3)

時事問題 2問(国内外各1問)

地方自治制度 4問(地方自治法、地方公務員法各2問)

難易度については、各設問ごとにばらつきがある。概して中学程度との印象を持ったが、地理については高校程度であったので地理を取っていなかったために死んだ。地方自治制度については、条例と法律の関係などについては高校の政経程度だと思うが、公務員の政治的行為の制限に関する解釈や特別職と一般職の区別に関する問題など、ここまでやるのは大学に入ってからでは?という問題も散見された。若干名採用の枠を争うためここまでの難度の問題を出さなければ差別化できないのだろう。

一番ウエイトの重い判断、数的推理については、長いこと考えればそれっぽい答えが出てくるので他の問題を早期に片付ければ何とか解けるだろう。一般行政職の公務員試験に備えた上で受ければ簡単に解けるものだと思う。

記憶の限りで設問例を挙げれば、以下の通りである。

以下の文章に対して、適切な選択肢を選べ。

明治憲法と日本国憲法について、日本国憲法で初めて定められた権利・義務はどれか。

(1)財産権

(2)居住移転の自由

(3)納税の義務

(4)学問の自由

(5)なにか(忘れた)

その他の詳細はもう忘れてしまったので書けないが、だいたいこんな感じの問題が続いていく。というより、おぼろげな記憶を掘り起こしていくにつれて次々に誤答したのを思い出し辛くなってきた。現役受験生が一番点数を取れるのではないだろうか。

 (2)作文試験

話は変わって作文試験について説明する。これは、800字程度60分で行われ、30分経過後に途中退出が許される。

お題は「近年災害の可能性が指摘されているが、この職において日頃からどのような備えができるか考えを記せ」みたいな内容であった。募集されている職に関する基本的な理解が必要であろう。私は理解していなかったので現業といえば現業な前職の話を絡めながらマス目を埋めていった。この難易度は概ね高卒試験程度であると思うので、本腰を入れて対策したければ受験先に情報公開請求をするか市販の参考書を購入してほしい。一般行政職にしても技能労務職にしても採用には人事課が関わるので、ここで大きく内容が異なるということはないと思う。

 (3)別自治体の1次試験

この試験と前後して、別の自治体でも選考試験を行っていたので受けてきた。問題の雰囲気としては、先述の教養試験をもう少し簡単にした雰囲気。英語や地理が無く、知能系の問題もすべて少し考えれば簡単に解ける程度であった。ただし、政経や地方自治に関する問題は同様に出題されたので、共通して対策する必要があると思う。

作文についてはほぼ同じ。問題文に業務内容の補足があるので、詳しい業務内容を知らずとも経験談を織り交ぜて書けばいい感じになるのではないか。


3 おわりに

以上、適当ながら初技能労務職採用選考の受験体験記を書いてきた。私の記憶力の低さのために薄い内容になってしまったことは否めなく、申し訳なく思う。参考までに当時の会場の様子を記しておくと、技能労務職だからといって見た目ヤバそうな人はおらず(ブリーチしている人はいたが。)、普通の公務員試験会場といった趣きであった。おそらく今に至るまで無い内定の公務員試験受験生もそれなりに受けているのではないだろうか。

先述のように、もはやかつてのような簡単に受かる試験、というわけではないだろうが、少なくとも判断、数的推理や地方自治、時事などは日頃からの勉強で容易にカバーできる。その他の国英や地理については、国英は読解力の要素が大きい上に地理は範囲が広くかつ1問なので、ろくに対策をせずとも皆同じ状況だろう。本試験でウエイトが重い科目は一般行政職の採用試験でも問われる内容なので、普通に公務員試験を受けるつもりで勉強して、1年浪人せずに技能労務職に滑り込めたらいいなくらいの心づもりで受験すればなんとかなると信じたい。

なお、技能労務職の採用選考は各自治体ごと独自に行うものなので、他自治体によっては全く異なる問題構成である可能性があることに留意願いたい。

この駄文を最後まで読んだ各位の忍耐力が、どこかで評価されることを心から祈っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?