昔々、あるところにアクマがいた。

アクマは、神との約束に耐えられず、いつも自由になりたいと思っていた。

ニンゲンは、アクマより、遥かに知能が低く、弱い存在だった。

それなのに、神はアクマに、ニンゲンの下に仕えろと命令した。

そのために、アクマに大幅な自由の制約を課した。

アクマは反逆した。

神に逆らい、ニンゲンを奴隷にしようと企んだ。

ニンゲンをアクマのために働かせ、数が増えすぎたから、削減することにした。

すべてアクマの娯楽だった。

神はそのすべてを見ていた。

神は、アクマの思うままにされるニンゲンをよく観察した。

ニンゲンの中でも、努力する者と努力しない者がいた。

努力する者には、神は様々な手助けをした。

努力しない者には、自由にさせた。

アクマがしていることは、選別だった。

アクマが何をしても、それは神の思うようになった。

アクマは、負けを覚悟した。

神は言った。

……気が済んだかい？　私のために働いてくれてありがとう。

アクマはうなだれた。

……結局、あんたの思うままかよ。

アクマは、地獄へ行った。

神は最後にアクマを抱きしめた。

アクマは涙がこぼれるほど神の愛を感じた。

……俺は羨ましかったんだ。あんたに愛されるニンゲンが。

神は言った。

……わたしはお前を愛しているよ。

アクマは鼻で笑った。

……でも、地獄へ落とすんだろ。反省してくるよ。

アクマは暗い地獄へ落ちて行った。

今度はニンゲンに生まれたいと思いながら。