見出し画像

不出来な人間だけれど

昔々、あるところにアマエとユルシの夫婦がいた。

アマエは、奥さんに甘えていた。

人間としてズレていて、傍から見たら、この人で大丈夫なの? とユルシが心配されるような人だった。

ユルシは、アマエに失望と怒りをくり返しながら、結局、ゆるし、そして、いつも期待していた。

アマエは、情けない男だった。

すぐに疲れたと言い、ため息をつき、何か言われるとキレた。

ユルシは、猛獣使いのようにアマエの機嫌を操り、やるべきことをさせた。

そんなアマエは、ある日、決意した。

「俺は本気になる」

アマエが禁止したこと。

疲れた発言。

ため息。

逆ギレ。

アマエは、頑張った。

今度は、必死すぎて重いと言われた。

ユルシは言った。

「なんでもっと爽やかになれないの?」

アマエは、強くはなれなかった。

それでも、アマエなりに一生懸命、頑張った。

その様子を子供たちが見ていた。

笑い、囃し、面白がった。

こんな面白いパパはいないと思った。

アマエは、不出来な人間。

でも、その真心は、家族に伝わっている。


この記事が参加している募集

これからの家族のかたち

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?