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ポッキーの魅力

#青ブラ文学部


山根あきらさんの企画に参加しています。

お題 「やせたガールの日常」


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A子は、標準的な体型をしていた。

太ってもなく、痩せてもいない。

A子は、異性からモテない。

モデルのように痩せたら、B君から愛されると思った。

B君の推しアイドルは、ポッキーのように細いから。

A子は、ほとんど何も食べなくなった。

家族は心配して、あれこれ食べ物をすすめるが、A子は「いらない」と言う。

A子は、大好きなイチゴ大福も食べなくなった。

A子は、痩せていった。

まわりから、「やせたガール」と呼ばれた。

A子は、体重が減るたびに、B君に近づいていると思った。

B君に告白した。

わたしを見て。ポッキーのように痩せたから。

B君は、優しく「他に好きな人がいるから」と言った。

A子は、泣いた。

そして、もっと痩せようと思った。

A子は、痩せた。

苦行釈迦像のように。




A子のアバラは浮き、骨と皮だけのようになった。

フラフラになったA子は、家族からすすめられたスジャータめいらくを飲んだ。

その時、A子は悟った。

B君が好きなのはポッキーじゃない。

ポッキーに塗られているチョコレートだと。

A子は、チョコレートのように苦みを砂糖で甘くした女子になろうと思った。

女子は、本来、苦い。

しかし、それを砂糖とミックスさせて甘くさせている。

男子に対する現実的な厳しい要求。

それをぼやかす甘い幻想で男子を包む。

それが、A子の目指す女子。

A子は、変わった。

体型は戻り、健康的な体になった。

A子は、B君にチョコレートで誘惑した。

「あなたのために作ったの」

B君は、フラフラとA子とくっついた。

A子は、語る。

「ポッキーは、チョコレートが肝心。細いだけじゃないのよ」

やせたガールと呼ばれたA子は、ポッキー教祖になった。




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