永井 政光

国内・海外の建築を数多く観てきた建築家/一級建築士です。無垢の木や手刻みの大工技術を活…

永井 政光

国内・海外の建築を数多く観てきた建築家/一級建築士です。無垢の木や手刻みの大工技術を活かしいた木造建築が専門です。民間設計事務所→ゼネコン設計部→6か月間の建築巡りの旅→伝統構法の勉強会(木組ゼミ)→永井政光建築設計事務所 主宰。受賞歴あり。中部大学建築学科非常勤講師。

最近の記事

妹から貰った湯呑と金継ぎ

 昔、妹から貰った湯呑が割れてしまったので、加賀の金継ぎ職人さんに金継ぎで綺麗に直して頂きました。 お気に入りの湯呑だったので復活してよかったです。 金継ぎのおかげで、割れる前よりむしろ魅力が増したような気がしています。  この湯呑には「福福いっぱい」と書かれていますが、フグの絵柄は「ふく(福)」にかけての「ふぐ」なのかなと想像しつつ、この湯呑で飲む緑茶タイムを夜の楽しみにしようと思います。

    • 銘木屋さんに行ってきました

      昨日、久しぶりに昔からお世話になっている銘木屋さんに行って、色々な材料を見させて頂きました。ここの銘木屋さんは主に木製建具に使う木材が揃っていて、綺麗な柾の木目の赤身の杉もたくさんあって、いい目の保養になりました。 色々見させて頂く中、一つ面白い材料を見せて頂きました。それが添付画像にある杉の鏡板(建具の四方の枠の中に納める板)です。霧島杉という鹿児島県周辺の希少価値の高い杉で、しかもオール白太の幅広材という大変珍しい一品です。(一見、ダイニングテーブルの一枚板のようですが

      • ホテルライクな洗面室

         毎日よく使う部屋の一つに洗面室があります。歯を磨いたり、お化粧をしたり、髭を剃ったり、お風呂に入るために服を脱いだりと、意外に日々の日常で使う頻度の高い空間です。そんな洗面室をワンランク上の上質な空間にすることは、暮らしを豊かにする上で大切なことの一つではないでしょうか。  私の事務所でよく取り入れる仕様の一つは、シンプルな大きな鏡を洗面器の前に一枚設けることです。小細工のないシンプルな鏡は金額的にも意外とお値打ちで、それでいて上質なホテルのようなリッチな雰囲気になり

        • 障子の明かり/陰影礼賛

           谷崎潤一郎の名著「陰影礼賛」的感覚は、谷崎潤一郎の感性であるだけでなく、もしかしたら日本人的感覚と言えるのかもしれません。白くて光に満ちていて鮮やかなものも確かに魅力的ですが、この本には、暗い陰影にこそ美があるという趣旨のことが書かれています。その本で私にとって印象的だったのは、ロウソクのあかりだけの暗い夜の室内での、ロウソクのあかりに照らされた漆(うるし)の美についてです。大学時代の私には思いもよらない発想で、美の本質について感化されました。  そんな陰影礼賛的な美

        妹から貰った湯呑と金継ぎ