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おんせんしの楽しみ方がわかる、泉質のあれこれ

こんにちは、永井千晴と申します。
国内外の温泉に500以上浸かり、会社員をしながら温泉オタクとしての活動を続けてきました。雑誌やWEBメディアに執筆したり、イベント登壇したり、本を出版したり(女ひとり温泉をサイコーにする53の方法 / 幻冬舎 / 2020)。いち温泉好きとしての視点を活かして、いろいろと情報発信をしてきた者です。

勤めている会社がエンターテイメント系で、私の役割がプロデューサーということもあって、この度、温泉×エンタメの新しいプロジェクトを立ち上げることとなりました。

それが、泉質アイドルユニット・おんせんし
「場を沸かし、湯を湧かす」をミッションに、楽しげな楽曲をお届けするアイドルです。私は温泉視点での監修をしながら、プロデューサーを担っています。

はじめまして、おんせんしです!

企画書をつくった2022年の夏から、表紙に「メディアミックスならぬ、トラベルミックスプロジェクト」という一言を書いていました。
おんせんしを気に入ってくださった方に、温泉旅行に出かけてみてほしい。これまで以上に温泉のことがよくわかり、より温泉にわくわくできるようになるプロジェクトにしたい。…と思っています。
(もちろん、メディアミックスはしていきたいですが!)


おんせんしは、2023年11月1日にこの世に誕生しました。生まれたてほやほや、まだ生後1日です。
いろんなきっかけでおんせんしに触れていただく中で、「そもそも泉質ってなに?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

前置きが長くなりましたが、本記事ではおんせんしの由来である「泉質」のあれこれについて、基本的な情報をお届けできればと思っています。

泉質は、簡単にいうと温泉の"種類"


温泉の泉質は大きく分別して10種類あり、これは環境省によって定められているものです。おんせんしはこの10種類から着想し、10人のキャラクターを生み出しました。

泉質がどのように決まるかというと、「温泉に含まれている成分量」によるものです。それぞれ定義があって難しいので、覚えなくて全然大丈夫です。

大切なのは、これらの泉質はあらゆる温泉で"組み合わせ"が発生するということ。

例えば、最近私が泊まった温泉旅館の温泉分析書をご覧ください。

熊本・黒川温泉 山河旅館さんより

温泉の脱衣所に、こういうやつ、掲示されていますよね。成分量や泉質など、温泉を理解するうえでとても大事なことが書かれています。
左上に記載されている泉質にご注目ください。
「ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉」とあります。

つまりこれは、先ほどの10種類の泉質のうち、「塩化物泉」と「炭酸水素塩泉」と「硫酸塩泉」の組み合わせです。(黒川温泉には多種多様な泉質の温泉が湧いていて、すべてがこの泉質というわけではありません)

つづいてこちら。

秋田・乳頭温泉郷 妙乃湯さんより

いろいろと書かれていますが、大体こういったフォーマットであればイオンの数値表の一番下に泉質の記載があります。
ここは、「酸性・含鉄ーカルシウム・マグネシウムー硫酸塩泉」
つまり、先ほどの10種類における「酸性泉」「含鉄泉」「硫酸塩泉」の組み合わせになります。
(乳頭温泉郷も多種多様な泉質の温泉が湧いていて、すべてこの泉質というわけではありません)


複雑な事例を先立って紹介しましたが、泉質が組み合わさっていないシンプルな温泉ももちろん存在します。
いずれにしても、ひとつひとつの温泉には顔つきのはっきりとした個性があるといえます。

私はここに注目しました。

歌を歌うおんせんしは、温泉地によってメンバーが変わるようにしました。"組み合わせ"は温泉地によって異なるからです。
だからこそ、おんせんしに「泉質アイドルユニット」という冠をつけました。


おんせんしのデビュー曲は、熱海温泉をイメージした「おいで☆ATAMI」。塩化物泉のシオと、硫酸塩泉のリュウが歌ってくれています。
熱海温泉には、この組み合わせのとおり、塩化物泉と硫酸塩泉が湧いています。

熱海はシオリュウ!

熱海温泉公式によると、熱海の泉質は塩化物泉が67.2%、硫酸塩泉が22.5%、単純温泉が10.3%の比率です。熱海に湧く温泉の9割が塩化物泉と硫酸塩泉で、熱海らしさを最大限表現することを考えて、今回はトリオではなくデュエットとしました(この判断がいつもとても難しい)!
上記のリンクに書かれているとおり、「硫酸塩・塩化物温泉」のように組み合わさっている泉質の温泉もあれば、それぞれ独立しているものもあります。

おんせんしを知ってくださった方は、熱海の温泉に浸かったときに、「お、これはシオとリュウが湧かしたんだな〜」と思い出していただけたら本当に嬉しいです。

おんせんしの性格で、泉質を知る

おんせんしの性格には、泉質の特徴も色濃く反映されています。

例えば塩化物泉のシオは、「一緒にいるだけで心がポカポカしてくる」。
塩化物泉は保温効果が非常に高く、その名の通り塩分の濃い温泉。海の近くに湧いていることが多く、本当にさまざまな泉質と組み合わさる、人気者の泉質です。

硫酸塩泉のリュウは、「アンチエイジングの作用で若返りつづけている魔性な人物」。お肌にうるおいを与えるアンチエイジングの温泉と言われています。
(硫酸塩泉はほかにも「傷の湯」「脳卒中の湯」などとも言われていて、動脈硬化症などに効果があるとされています。すごい!)

こんなおんせんしたちが、残り8人は未発表の状態です。
少しずつみなさんにお披露目できればと思っています。

シルエットをご覧いただきながら、性格の予想をしていただけたら嬉しいです。温泉ファンならきっとできるはず!笑

泉質は、温泉の個性をあらわす大きな要素のひとつ


ひとりの温泉オタクの視点でいえば、「泉質」は温泉の個性をあらわすポイントに過ぎません。ほかにも、泉温や湧出量、源泉がどのくらい加工されているかなど、温泉をはかる物差しはさまざま存在します。
泉質がシンプルであっても、湯使いによってすばらしい個性派名湯にもなりますし、逆もしかりです。

それでも、泉質を多くの人に知っていただけたら、温泉はもっともっと楽しくなると信じています。
温泉の旅行先は選びやすくなるし、近所の温泉のありがたみも感じるし、温泉に浸かっているときのおもしろさも倍増する……そんな世界になっていくといいな、と思っています。

(おんせんしを一緒に企画した夏生さえりさんは、近所の温泉の泉質を見て「この子とこの子が湧かしてたのか!!」と一気に理解が深まって感動した、と言ってくれていました。こういう発見がたくさん生まれますように!)


そんな温泉オタクなプロデューサーの気持ちがずっしり乗っている、泉質アイドルユニット「おんせんし」。少しわかりづらい部分があるかもしれませんが、気に入っていただけたら大変ありがたいです。
プロジェクトメンバーではいつも、新しい楽曲ができたときや、声優さんのレコーディングのとき、キャラクターデザインが仕上がったときに、「沸いた!」と言い合っています。沸くって、うれしい。みなさんにもたくさんの「沸いた!」を届けられたらと思っています。

そして、これまで私の温泉の発信を楽しんでくださっていたみなさまにも、見て聞いていただけたら、と願っています。全国の温泉ファンからも愛されますように、がんばっていきます。



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