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大成功のニンジン収穫イベント。大事なのは「何のためにやるのか」

僕は今日、10キロのニンジン達と共に、福岡から仙台へと空を飛んだ。

空港の荷物受け取りレーンで、10キロのニンジンが流れてきているところを見たことがあるだろうか?

もしその光景を見たとしたら、あなたはどう思うだろうか?

近くにいた航空会社のお姉さんに、僕の荷物を見られ「・・・ニンジンを収穫してこられたんですか?」と聞かれ、「はい、そうなんです」と苦笑いで僕は答えた。。。

そのとき、僕とお姉さんの目の前には、こんな姿のニンジン達がいた。

福岡空港でお借りしたANAのレンタル箱の中で暴れまくっていたニンジン達

僕がこのニンジン達と一緒に空を飛んだ理由。
それは、↓こんなイベントに参加してきたからだ。

福岡で開催されたイベントのチラシ

遡ること2週間前。日本一のオーガニックファームを農福連携で運営しているオーガニックパパという会社の皆さんに会うために、僕たちは福岡へ行った。目的は、僕達が取り組んでいる「ジーバーFOOD」事業の仲間になってもらうために。
オーガニック野菜や、それによって作られたお惣菜が販売されている店舗、実際の畑などを見学させてもらい、夜にはオーガニック野菜のフルコースディナーをご馳走になった。(特にカレーが衝撃的な美味しさだった。これはジーバーFOODでも商品化していく)

食べれば食べるほど健康になる絶品オーガニックカレー

そんな中、話題はその日に見学させてもらった「ニンジン畑」の話に。このニンジン畑では、完全無農薬のニンジンが大量に眠っていて、絶賛収穫中とのこと。このニンジンの使われ道はと言うと「幼稚園の給食で園児が飲むニンジンジュース」だそうで、少し離れた大分の工場で全てジュースにされるとのことだった。

奥の緑色のところまで大量のニンジンが眠っている実際の畑

しかし。工場にはニンジンジュースのために生産ラインを空けられる期間の限りがあり、納品の納期が定められているらしく、人手が足りなくて農園の一部分は収穫を諦めなければいけないという、無念の現実を聞いた。
「えー!!!!もったいない!!あんなに立派で美味しいニンジン達が、収穫もされず捨てられていくなんて!」

そう思った僕たちの仲間の1人が、すぐさまアイデアを出した。

『地域のジーちゃん、バーちゃん、そして子供からママ、パパまでみんなの力を借りて、収穫イベントをやりましょう!!』

・・・
ナイスアイデア!! 
と、
いやいや、そんなんで人は集まらないでしょ、、、
が混じり合った空気感になった。

でも、僕らは気にせずチラシを作り始めた。

そして1週間後、さっきあげたイベントのチラシが近隣の約6,000世帯に新聞折込チラシとして配布され、そこから48時間以内で、なんと、、、

50人の人が集まった。


※先着30名と書いたが、予想以上に申し込みが集まって嬉しくて、みんなにOKを出してしまった。。。

最年少は5歳の男の子から、最年長は86歳のおじいちゃんまでが、エントリーしてくれた。

「なぜ、このイベントに参加しようと思ったんですか?」の質問には、こんな感じで答えてくれた。

実際のアンケート回答の一部

なんか、いろんな可能性と、地域に眠るパワーにワクワクした。

そして、迎えたイベント前夜。
なんと、まさかの連日の大雨で、イベントは中止!!!!

と、なるはずだった。
なぜなら、僕らには「納期」があるから、もう間に合わなくなってしまう状況だった。
それでも、参加してくださる方々の想いを無駄にするわけにはいかない!!!
工場が間に合わなくとも、みんなで収穫して、何か別の料理に有効活用しよう!!!

という思いで、開催は1週間後に延期します!と決めた。

すると奇跡が起きた。

オーガニックパパさんの熱心なお願いに工場が応えてくれて、納期を延ばしてくれたのだ。

スケジュールが変更になったこともあり、延期開催の当日(3月2日)の参加者は25名に減ってしまったけども、朝9時の集合場所には「待ってました!!!」「やったるぞ!!!」の思いをヒシヒシと漂わせている25名の参加者の皆さんの顔が並んでいた。

簡単なガイダンスが終わり、いざ農園へ。

参加する方々を含めた僕たち素人集団は、農園を前に目をキラキラさせて「わー!楽しみー!」というテンション。

一方で毎日畑と向き合い続けているプロの方々は「皆さん、お願いします!」という期待と、「大丈夫かな?」という不安が、入り混じっている感じ。

農園へ移動中、ある参加者の女の子が「福岡は、あんまり雪とか降らないんですよねー」と、福岡の紹介をしてくれた矢先、雪がちらつき始め、いよいよ不安の方が勝ってくる。。。

そんな中、ニンジン収穫イベントは幕を開けた。

結果は、、、

約3時間で3トンの収穫!!


途中、子どもたちは飽きて川にザリガニを捕まえに遊びに行ったり、おじいちゃんは「ダメだ!最近トイレが近くて!」と言って、トイレ休憩に何度も行ってみたり。
近所の仲良し4人組で来てくれた地元のマダム達は、さすがのお気遣いで「はーい、飴ちゃん配るよー」と言って、みんなに飴を配り始めたり。。。

だらけるわけでもなく、でも無理をしすぎるわけでもなく、参加したみんなが楽しみながら、和気あいあいと力を合わせた結果、3トンのニンジンが収穫されたのだった。

何のためにやるのか

僕たちが企画したチャレンジイベントは、3トンのニンジンを収穫という成果を残し、大成功に終わった。

しかし、ただそれだけが評価基準なんだろうか。
じゃあこれが1トンだったら失敗で、5トンだったらもっと大成功だったんだろうか。

決してそういうことではない。
僕たちがこのイベントを通じて伝えたかったこと。そして、次に繋げたかった思い。つまり「何のためにやったのか」。
それは「地域みんなで『おしごと』に取り組む」コミュニティづくりそのものだった。

人口減少社会。超高齢社会。少子化。
孤独な人の増加。近所関係の希薄化。コミュニティの喪失。。。

こんな言葉ばかりを聞く毎日が、今の日本の日常だ。
ありとあらゆる業界で人手が不足していき、困っている人の「誰か手伝って!助けて!」の声は、ビジネスにおいても私生活においてもどんどん増えていくんだろう。

だから!!イベントをやって人を集めようぜ!!!
、、、そんな短絡的な話ではない。

「共助」そして「商助」へ

古き良き日本には明らかに今よりも「助け合い」の文化が根付いていたように思う。自分の地元を思い返しても、お節介な近所のおばちゃんはたくさんいたし、近所付き合いは今と比べて間違いなく豊かだった。
みんなが忙しくなりすぎたからなのか、生活が便利になりすぎたからなのか、コロナが原因なのか、、、明らかに「地域との関わり合い」はどんどん減っているような肌感覚がある。
そしてそれと同時に「共助」の文化が薄まっているのが、今の日本だ。

永野流「自助・公助・共助」の定義

そんな状況の中、人は減っていき、高齢化率は高まり、孤独な人は増えていく。。。
本当は今こそ「共助」が必要なのに、黙っていても勝手にそんな文化が取り戻されるわけはないし、むしろ悪化していく一方だ。
だからこそ、僕ら民間企業がビジネスを通じて「共助」を促す必要がある。つまり「商助」の力で、地域に「共助」の文化を取り戻すことが必要なんだと思う。
今回のイベントはその第一歩になった。

そして、僕らが思う「おしごと」とは、漢字の「仕事」とは違って
・自分にできること
・自分がやってみたい(やりたい)こと
・自分が好きなこと
を通じて、誰かの役に立ったり、誰かに喜んでもらう

という風に定義している。

きっと、これからの時代をみんなで豊かに生きていくためには、ガチガチに凝り固まった「仕事」だけのワークライフバランスから脱却し、もっとラフに気軽に「おしごと」を楽しみながらコミュニティが広がっていく、そんな文化の醸成が必要なんだと思う。

そんな僕たちの思いを、1つのニンジン収穫イベントに込めて、やってみたというお話でした。

・・・いや、本当のことを言うと、やりながら、そしてやった後に振り返っていて、そう思うことができたという僕たちの成長の軌跡のお話しでした。

大事なのは「何のためにやるのか」なんだ。

参加してくださった皆さんとの記念写真


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