小学校GIGAスクールミステリー(実話です)
久しぶりに思うところがあって、現時点で記憶していることをまとめておきます。
今どきの小学生は一人一台タブレットPCということで、うちの子たちも、すっかり使い慣れた様子になってきました。
使用端末は小中学校ともにChromebook、決してパワーが十分とは言えないのと、どうせならwindowsに触れるか、利便性ならiPadのほうがよかったのでは?って気はしましたが、予算との兼ね合いもあるでしょうし、コスパ重視という意味では許容範囲の選択ではあるかなという気がしています。
そんな中で起きた、ちょっとした大きな事件を一応記録しておきます。
事件概要
最近は、いわゆる調べ学習をやっており、娘(小4)は「白糠町」について調べていました。
余談ですが白糠町は、北海道の東側で、釧路市の隣に位置します。逆隣の音別町が釧路市と合併したため、現在は、釧路市に挟まれるような場所に位置しています。
「子育て応援日本一」を謳う、僕ら世帯がみるとうらやましい制度がいろいろ整っている町です。
さて、ネットサイトなどを使って調べた情報は、googleスライドを使って自分なりにまとめ、発表することになっています。
娘は、白糠町の概要や特産品、なぜ釧路と合併しなかったか等の内容をまとめ、7ページほどのスライドを作っていました。まだ、完成ではありません。
googleサービスですので、データは、クラウド上に保存されています。
(学校とgoogleのクラウド利用がどのような契約になっているかはわかりません。)
ところが、ある日。
せっかく作ったスライドが、きれいさっぱり無くなっていたのです。
もう少し正確に状況を説明すると、制作中のファイルは残っているのですが、中を開くと制作した7ページのスライドが消え、空白の1ページのみになっていたというわけです。
この状況に学校で気付きました。
先生の初期対応
とうぜん、データが消えたことをすぐに先生に相談したそうです。
7ページくらい作ったはずだということも伝えたそうですが、どうにもならないので、「もう一度はじめから頑張って」ということになりました。
問題の一つ目はここですね。
クラウド保存されているなら、データ履歴があるはずです。
何かの原因で消えてしまったことは別問題としても、とりあえず履歴を戻すことはできたんじゃないかなと。
「大事なデータを消してしまった!」とか「自動保存で上書きされてるけど元に戻したい!」というくらいは、想定していないのかなと疑問です。全ての操作を頭に入れていなくても、ちょっと調べたらその場で対応はできそうです。
データ復旧
「最初からやり直し」となった娘は、学校でとりあえず1ページ目の表紙だけつくり直し、その日は端末を持ち帰ってきました。
「おとーさんなら、なんとかできそうだから持ってきた」ということだったんですが、はい、あっさりなんとかなりました。
googleスライドに限らず、ドキュメントもスプレッドシートも同じですが、復旧したいファイルを開き、メニューの「ファイル→変更履歴」と進むと、最近の履歴一覧がでます。
制作した7ページが残っている数日前のデータをみつけ、データは簡単に復旧しました。
なぜ消えた
娘的には、データは戻ったし、めでたしめでたしということなんですが、僕の興味はここからです。
なぜデータが消えたか。
まずは白紙データが上書きされた日時を調べました。
前日の午前8時15分。
この時間帯は、児童が登校してすぐの時間帯で、ほとんどの子はタイピング練習などをしているそうです。
このタイミングで娘が誤った操作をしたかという問題ですが、さらにその前の日に欠席したため工作ができておらず、工作の続きをしてたため、その時間端末には触っていないということです。
なかなか面白くなってきましたね。
つまり、データが消えた理由の可能性は二つ。
①サーバーのトラブルで消えた。
②誰かが消した。
仮に①だった場合、googleとの契約にもよりますが、結構な大問題ですよね。システム管理者が何かしらの対応を考えるべきでしょう。
今後も、いつ消えるか分からない場所に子ども達の大事なデータを保管するというのは問題です。最近は学校アンケートや欠席連絡もgoogleフォームですが、それらの情報も信用できなくなります。
しかし、この可能性は低いでしょう。googleドライブのアカウントがまるごと吹っ飛んだとかなら別のシステム的な原因も疑いますが、制作中の特定のファイルだけが、サーバートラブルのせいで微妙に白紙で上書きされるとは考えにくいです。
そうなると、②の可能性ですね。
誰かがこのファイルに触った可能性です。ほとんどの児童が端末を触っている時間帯。全員の画面を監視していない限り、他人のデータを触っても不自然な行動にはなりません。
学校の管理体制
ここで、端末とログイン情報を学校ではどのように管理しているかお話します。
以前は固定の端末を決めず、自分のIDでログインすれば、どの端末でも使えることになっていたようです。
ログインは文字列を打込むのではなく、各自に配付されたQRコードをカメラにかざすとそれぞれのアカウントにログインできるようになっています。パスワードはありません。
ところが、おそらく「QRコードを忘れた、無くした」等で教室のオペレーションが煩雑になるという理由だと思うのですが、今は「ログアウトしないでください」と言われているそうです。
その代わり端末が固定になり、自分の端末を開くと、すでにログインされた状態になっています。
端末は、廊下にある大型ラックにならんで充電されていますので、他人の端末を持ち出すことは容易です。番号順に並べていても、別な子の端末を使ってしまうことも多く、自分のがないから、また別な人の端末を使うということで、連鎖的に複数の組み合わせがぐちゃぐちゃになるということは、過去にもあったようです。
そこで、現在は端末に名前シールが貼られて、自分の端末であることを確認して使うようになっていました。
このICT時代においてセキュリティの感覚というのは、ITリテラシーの基本のようにも思います。プレゼンテーション云々のまえに、ログイン・ログアウト作業ができない子には触らせちゃいけないというのは考えすぎでしょうか。
誰かのQRを盗む、誰かの端末を勝手に持ち出す、そのいずれかで、簡単に他人のデータを改ざんできてしまいます。
「うちの児童にかぎってそんなことはあり得ない!」という前提なのか、トラブルの可能性は理解できるけど、ICT機器については対応を話合うだけのリテラシーが先生たちにないのか。そもそも危険性を理解できないほどローテクな世界なのか。
いずれにしても、良くない状況だと思っています。
データ復旧後の学校は
翌日、データが復旧できたこと、またトラブルがあっても戻す方法も分かったことを先生に伝えたようですが、とくに何も言われなかったそうです。
この対応は、かなり問題だと思うのですよ。
たとえば、作りかけの図工の時間に数時間かけて作った作品が、完成前に何者かによってめちゃくちゃにされていたという事件が起きたらどうでしょう。
「なんで壊れたかわからないね。しかたないから最初から作り直して。(終)」
そうなりますかね。ならないでしょう。
ときどき自然に壊れるようなところに作品を保管もしないでしょうし、誰かが壊したなら大問題じゃないでしょうか。
ところが作品がデジタルだと、この対応です。
日本のICT教育、GIGAスクール構想の現実をみた感じがしますね。
問題点を整理
話が散らかってきたので問題点を整理しましょう。
①子ども達に端末を触らせると起きえるトラブルを想定できていない。
「データが消える」……想定外でしょうかね。
「○○くんも、消えちゃったみたい」という娘の話が本当なら、ときどき起きていることなのかもしれません。
②指導している先生が、基本的な操作をできない。
端末操作は、得手不得手もあるのは分かります。ただ、どこかのクラスで事例が出ているなら先生同士で対処法を共有したらいいでしょうし、調べようともしないのは気になっています。大人がググれば1分でわかることです。
「先生はPowerPointしか使ったことないから、googleスライドなんてわからいよー」っていうなら、大前提として教育システムがまずいのでは……
③そもそも問題視していないことが問題。
結局、なぜデータが改ざんされたか原因はわかりません。犯人捜しをしろという意味ではなく、データが消えたことを問題と捉えていないような対応に疑問を感じています。
たかがデータが消えたきえたくらいと問題とされていないとなれば、教員の間で情報共有もされていないでしょう。
おわりに
その後、何も連絡はないものの、職員会議で事例の情報共有したり、対処法を確認していたようなら余計な戯言を書いて申し訳ありません。
またまるで、誰かが悪意を持って改ざんしたように書きましたが、過失の可能性もあります。
たとえば、クラスメイトが気付かずに娘の端末を開き、自分のデータと違ったのでどうしていいか分からず、焦って消してしまった。そうかもしれません。
データ自体はたいしたものではないし、内容も取り返せたので、大きな問題ではありません。
学校に直接言ってみようかと考えましたが、「めんどくせーPだな」と思われるのが関の山で、学校のITリテラシー向上や体質が改善のきっかけにしてもらえる気がしません。
実は、僕はPTA役員で、担任だけでなく、校長先生を始め、教頭先生、主幹の先生も頻繁にお会いしよく知っていますので、学校中の誰よりも言いやすい立場ではあるのですが……苦笑
よく知っているだけに、ブラックな環境を改善しつつあるところに、水を差すような面倒を持ち込みたくないという気持ちもあります。
我が家と娘のことだけ考えれば、データ管理について学ぶ良い機会になりました。
どういうシステムでどのようなトラブルが起きるか、その中でどのように管理するとトラブルを回避できるか、または最小限のダメージで回復できるか。これからの時代で活躍する小学生にとっては、とても大事な勉強です。
でも、学校全体をかんがえたら、なんらかの原因でデータが消される度に、理不尽にやり直して泣き寝入りしている子がいて、先生たちも対処しようとしない環境で、ICT教育だの、GIGAスクール構想だの、っていうのはなんとも釈然としないでいます。
長々と最後まで読んでいただきありがとうございました。
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