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なぜレブロン・ジェームズは衰えないのか

今から約1年前の2023年2月、NBAレギュラーシーズン歴代総得点数においてカリーム・アブドゥル・ジャバーの記録(38,387点)を抜き、1位に躍り出たレブロン・ジェームズ。

そんな彼も2024年2月25日時点で総得点数を39,898点まで積み上げており、このままのペースでいけば前人未到の総得点数40,000点まであと数試合(4〜5試合)で達成するものと思われる。

歴代総得点数トップ10の選手たち。
(ご参考)総得点数トップ10の現役選手たち。

39歳を迎えた2023−2024年シーズンにおいても得点、リバウンド、アシストでハイレベルな数値を残しているレブロンだが、そんな彼がなぜ衰えないのか、について説明しているThinking Basketballのコンテンツがあったので、以下まとめておきたい。


レブロンの今シーズンのスタッツ。https://www.espn.com/nba/player/stats/_/id/1966/lebronjames

1.過去20シーズンの実戦で培った経験がある

これまで1471試合を経験してきたレブロン・ジェームズは、オフェンス・ディフェンスの局面において次に何が起きるか、どこにボールが来るか、を読んだ行動ができる。

昔のレブロン・ジェームズ(2000年代のクリーブランド・キャバリアーズ時代)であれば、スピードを武器に相手をドライブで抜き去ったり、ジャンプ力を武器にリバウンドを奪ったりできたが、39歳を迎えた今はそういった身体能力に依存するよりは、彼の高いバスケットボールIQを武器にしている。

相手選手の特性について知悉しており、例えばラッセル・ウエストブルックのように3ポイントシュート成功率が低い(29%)選手に対してはわざとオープンにさせてスリーを打たせたり、ドレイモンド・グリーンやニコラ・よキッチのパスコースをあらかじめ読んでターンオーバーを引き出したり、ジュリアス・ランドルの癖(スピン・ムーブからのゴール下シュートが多い)を読んだスティールを行ったりと、彼の経験と学習を活かしたプレイを見せてくれる。

2.オフェンススキルを年々向上させている

昔のレブロン・ジェームズ(2000年代のクリーブランド・キャバリアーズ時代)のアウトサイドシュートの成功率はリーグ平均以下の数値だったが、その後彼はアウトサイドのシュート成功率を向上させている。

過去5シーズンでは、彼のオープン3ポイントシュートの成功率は41%となっており、3ポイントシュートはれっきとした彼の武器になっている。

彼の得点源のうち、ここ数年は3ポイントシュートの割合が増えている点については以下の記事でまとめているのでご参照いただければと思う。

3.徹底したボディメンテナンスにより身体能力を維持している

彼がボディメンテナンスに年間1百万米ドル(約1億4千万円)を費やしていることは有名だが、睡眠・食事・筋肉トレーニングを徹底した管理により、身体能力を維持し続けている。

さすがに全盛期に比べれば瞬発力やジャンプ力、走力は衰えつつあるが、それでも2016年のNBAファイルでウォリアーズのアンドレ・イグダーラに見せたようなチェースダウン・ブロックをここぞというタイミングでは今でも見せてくれる。

4.(おまけ)修行僧のようなストイックなマインドセットを持ち続け、バスケットボール以外のことには目もくれずに邁進している

ここから先は、Thinking Basketballの中で述べられてはいない私自身の私見である。レブロンが衰えない最大の理由は、そのバスケットボールに対する姿勢にあると思っている。

彼は2003年のデビュー当初からまるで修行僧のようにバスケットボールに打ち込み、他のことには目もくれずにキャリアを積み上げてきている。

NBA選手には20代で手に入れた名誉と金に溺れ、時には酒・ドラッグ、女に手を出し、そして落ちぶれていく(超ストイックな練習の鬼として有名な故コービ・ブライアントも、落ちぶれることはなかったが、一度は女性絡みのスキャンダルを起こしたことがある。本人はそれを「魔が刺した」と言っていた)。

だがレブロンはそんなスキャンダルとは全く無縁である。かの名称、フィル・ジャクソンは実は2000年代初頭のレイカーズでヘッドコーチを務めていた時代、コービ・ブライアンととレブロンのトレードを検討していた時期があったことを明かしてるが、その際、フィル・ジャクソンはレブロンのそのストイックさと、まるで30代のように成熟したマインドセットに感銘を受けたと言う(結局、トレードは実現しなかったが)。

レブロンと同じくらいの身体能力、バスケIQを持っていた選手は過去のプレイヤーでも多く存在していただろう。だが常に修行僧のように高みを目指すマインドセットを持つプレイヤーは少ない。

かのマイケル・ジョーダンでさえ、1990年代初頭にスリーピート(3連覇)を成し遂げた時点でバスケットボールに対する燃え尽き症候群を発症し、野球選手への転身を図っている。

こうした浮気心はレブロンには存在しない。このひたむきさこそがレブロンの最大の武器であり、肉体的な衰えに争い続けることができる最大の理由であると考えている。

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