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米国の大手プライベートエクイティの方々と仕事をご一緒した感想(投資家としての立場から見た視点)

少し前に、超一流プライベートエクイティの米国本社で勤務する方(マネージングディレクター、パートナーレベル)と面談を行う機会があった。

プライベートエクイティと言えば、投資銀行やコンサルティング会社で勤務した方々の次の転職先として人気の超高給の職業である。

日本で有名なプライベートエクイティと言えば、カーライル、ベイン、KKR、ユニゾンキャピタル、AIキャピタル、アドバンテッジ・パートナーズ、CVC(コーポレートベンチャーキャピタルではない。念の為)だろう。

プライベートエクイティと言っても、その中にはカーライル、ベイン、KKRのように全世界で数百兆円規模の資産を運用する超巨大ファンドマネージャーから、日本国内で数億円規模の資産を運用するマネージャーまで、その内容は運用するファンドの戦略によって多岐に亘る。

冒頭で述べた、超一流のプライベートエクイティで働く方々との面談時間は1時間程度と限られた時間であったものの、超優秀な頭脳とコミュニケーション能力を持つ人だということが面談直後からすぐに感じ取ることができた。

そのわずか1時間の面談をもとに、プライベートエクイティで勤務する人々とはどんな人か、について少しばかり綴ってみたいと思う。

前回戦略コンサルの方々と働いた感想・外銀投資銀行部門の方々と働いた感想を書いたので、こちらもご参考いただければと思う。

どんな人たちだったか

まずどんな人とお会いしたかを記載する。

米国の一流私立大学(所謂アイビーリーグ)を優秀な成績で卒業した後、欧州系投資銀行での勤務を経てライベートエクイティに転職をし、そのまま社内で昇格をして現在のポジションにいる。

私は高校時代と大学時代の授業中、超優秀な同級生を見る傍ら「世界にはもっと優秀な学生がいるって本当なのだろうか。この学歴社会における全世界のトップ層ってどんな人たちなんだろう」と思っていたが、まさにその世界のトップ層に出会うことができたのである。

それは、「ここまで全てにおいて完璧な人がいるのか」と、その場で感嘆してしまうくらい、立ち振る舞い・知識・対人関係(コミュニケーション能力)に優れた人たちであった。

まず立ち振る舞いについて述べたい。

主張が少ないダーク系のスーツ姿で、清潔感に溢れた身だしなみをしている。無駄な贅肉や不自然な笑顔を浮かべることもなく、あくまで自然に、自信に溢れた様子で(それも横柄な感じを全く出さずに)振る舞う。目の前にいる顧客に対し、変に媚びたりへりくだることは一切せず、あくまでビジネス上の対等な関係で面談に臨んでいた。

次に知識について述べる。広く深い知識を有しているのは当然のことながら、大所高所から見た業界の俯瞰図、その中での自分たちの立ち位置やビジネス戦略等を理路整然と説明してくれた。

頭の良さというのは、基本的に不意に来る質問に対し、アドリブでどのように回答を行うかに表れる、と私は常々思っているが、この方はどんな質問に対してもはぐらかすことなく、真正面から的確な回答を行っていた。

最後にコミュニケーション能力である。よく、本当に頭の良い人というのは「難しいことを小学生でもわかるように説明する」と言うが、まさにその通り、簡潔で平易な言葉を用いて非常にわかりやすく説明を行っていただいた。

そして、何よりも驚愕したのは、こちらの質問の意図を汲み取る能力だ。頭の良さというのは基本的に「相手にどんな質問をするか」に表れると思っている。良い質問をすれば相手も「That' a great question!」と言って議論は弾む一方、的外れな質問をすると相手もポカンとして議論が萎んでいく。

だが、このファンドの方方々はこちらの的外れな質問に対しても意図を汲み取り、的確に丁寧に回答をしてくれた。そのコミュニケーション能力に救われ、お陰さまで建設的な議論を行うことができた。

まとめ

プライベートエクイティファンドとは、投資家から巨額のお金を長期間(通常10年以上)にわたって預かり、増やして投資家に返すビジネスである。

投資家にとっては10年間も資金が塩漬けになるため、その預け先の相手が信頼できるかどうか、きちんとお金を運用し、増やして返してくれるか、は非常に重要な問題である。

上記の方々は、立ち振る舞いも知識もコミュニケーション能力も完璧な人々であり、「この人なら信頼して自分のお金を預けることができる」と思わされる人々であった。

それは学歴がしっかりしているから、とかファンドマネージャーとしての過去のトラックレコードがしっかりしているから、という形式的な信頼感だけでない。実際に面と向かって会った時のその人の様子から感じられるものである。

こうした超一流のビジネスパーソンと対峙し、その才能や人間性に惚れ込んで投資を行うことができるのは、LP投資という仕事の醍醐味である、と改めて思わされた貴重な経験であった。



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