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若さの錯覚(とその錯覚)

 長崎で暮らしていると、自分が「若い」と錯覚しがちで危ないことに気がついた。少子高齢化と若年層の人口流出が加速している長崎においては、今年で32歳になる自分も、比較的「若手」と見なされがちである。良いのか悪いのか、見た目と服装のせいもあり、しばしば大学生に間違われることもある。なお、長崎市のとある総合戦略では、若い世代を「18 歳から 39 歳」と定義している。

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 先日、東京が拠点のとあるアワードに応募した。応募概要には、以下のようなことが書かれていた。

(アワード名)は若手のクリエイターやクリエイターを目指す学生を対象に、作品づくりのサポートや飛躍のきっかけを生み出す目的で立ち上がりました。

 この文章を読んだ時、果たして32歳の自分は「若手」の範疇に入るのか、甚だ疑問に思った。勝手な解釈かもしれないが、おそらくここでは「若手」とは、大学生から20代後半までを指している気がする。何故そう思うのかというと、東京にいた時、自分は「若手 = 学生〜20代」と強く思っていたからなのだ。30代は、とっくに若手時代が終わり、それに伴う「選抜」も終わっており、「出来るやつ」と「出来ないやつ」が厳正に峻別されている段階だ。30代は、既に一つの勝負がついている時代だと思っていた。30代は、「若手」ではない。そう思っていた。

 流石に今では、そこまで極端な世界観を持っているわけではない。これも一つの錯覚だ。ただ、たまに顔を出すだけで。

 長崎に移住した時は、28歳だった。今年で32歳になった。うかうかしていると、あっという間に時間が流れる。若い時間は待ってはくれない。アワードの結果は、1ヶ月後に分かる。

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