アジア杯主催側に抗議しないのかな?川渕さんは(2007/7/28付)

2この記事の初掲載日:2007年 07月 28日

オシム日本にまたトラブル「部屋がない」(日刊スポーツ)

アジアカップと言えば、いつもゲーム以上にその周辺でのトラブルの印象が強い。
レフリーがアンフェアというか極端にどちらかのチームよりというのは、もうアジアカップなら当たり前かもね、とあきらめてしまうくらい日常的だ。前回は、中国人たちの日本への憎悪の深さを見せ付けられて愕然とした大会だった。(私がジーコジャパンの選手たちに敬意を表するのは、彼らでは責任の取りようのない歴史的な憎悪の渦巻く中で、日本人として正々堂々戦って勝ってくれたというところにある。私にとっては、ワールドカップより、あの中国でのアジアカップのほうが日本人としてのアイデンティティと言う点では大きな意味があった。)

アジアはどんどん近代化し、急成長していっている。
ならば、アジアカップの主催やホスト国の大会運営ももっともっと洗練され成長していってもらわなければならない。
陸続きでない4カ国共催というのがまずおかしい。それも交通の便がいいわけでもない国々で。移動のないチームと、毎回移動しなければならないチームのアンバランスがでるような組み合わせも4カ国にまたがったのが原因。移動のための足の確保を確認していない。意味不明なキャンセルをしてる。着いたらホテルがない。……こんなことが、あっていいわけがない。
これは、完全に主催側とホスト国担当の怠慢が起こした事件と思っている。そうでなければ、悪意があってのこととなる。

代表に帯同している広報は「抗議するなどことを荒立てるつもりはない。」と言っているようだが、それは、おかしい。
正式な抗議をするべきだと
もし、アジアだから仕方がないという発想で、抗議しないのであれば、それは、アジアのその国々をばかにしていることになりはしないか。
その国々が、近代的な国であろうとしているのであれば、国際的なイベントを運営する上で最善の努力をつくすべきなのだ。落ち度があっては国際問題に発展するというくらいの気構えで運営にあたるべきなのだ。日本も戦後の発展途上のとき、そういう気構えで五輪や万博などに取り組んできたのだ。

今回のアジアカップが開催された場所はどこも湿度が高く気温も高い熱帯雨林にちかいような場所ばかり。それも夏の最中tと言う殺人的な環境での開催だ。
これまで、日本代表に病人や大きなけが人が出なかったのは幸運と考えたほうがいい。
昨年の遠藤選手のようなことにならなければよいがと、心配になる。
一番気になるのは、高齢のオシム監督の健康状態だ。さまざまなストレスを抱えていながら、今は試合の緊張感で踏ん張れているのだと思う。アジアカップが終了したあと、オシム監督の気力や体力が持ちこたえられるか。選手やスタッフは、日本に帰ればそこには安心できる日常があるが、オシム監督にとっては、日本もまだ旅の空だ。同じように、海外組の高原選手や中村俊輔選手もその足でまた緊張のつづく海外のチームに帰っていかなければならない。
ゲーム以外のことで、ストレスが溜まり、リフレッシュできない状況におかれている監督や選手たちが本当に気の毒。


FIFAは選手たちの健康状態を考え、3000メートル以上の高地での国際試合を禁じた。
サッカーをやるのは、協会のお偉いさんでもスタッフでもない。選手たちだ。過酷な環境でプレーさせることを禁じるFIFAの人権意識こそが、サッカーを守る最高機関のプライドなのだと思う。

日本の協会も帯同のスタッフも、もう少し選手たちのメンタリティーに配慮があってもいいのではないか。
足の確保も部屋の確保もされていない状態におかれた選手たちを前に、協会関係者はもっとしっかりと怒って抗議しなければいけない。彼らの本気が、選手たちの「自分たちを守ってくれている」という信頼感につながると思う。
不当な扱いに抗議するのは正当な権利であり、言いにくいこともきちんと相手に伝えることが成熟した大人の渉外の仕方だ。抗議すべき場で、文句を言うのは大人げないと言う人がいるがそれは、その状況からの逃げになると思う。日本のサッカー協会も、変に物分りのいい振りをせず、本当の大人の対応をして見せて欲しい。


暑さがナンだ、日の丸背負っているんだから甘えるな、韓国との因縁の対決に負ければ監督の去就問題だ、などと国内でもうるさい。
冷房の効いた快適な環境で観戦できる私たちは、もうすこし戦う彼らの状況に思いを巡らせてもいいのではないか。負けていいと言っているのではない。おそらく選手たちは出せるだけの力を出して最後の試合を戦い抜いてくれるはずだ。その意志を信じて応援し、帰国時もきちんとむかえたいと思うのだ。


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