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旅の話.43 カイロ②

CIAO HOTEL

このホテルは安宿と中級の中間くらいだった。
眉毛のつながったおじさんがいた。名前はオーサマ。
バスターミナルの事を聞くと「バスは疲れるし危険だから電車にしなさい」とか「まずはカイロ観光をするべき」とか、いろいろ提案してきた。
確かに、オーストラリアの長距離バスをイメージしていたけど、エジプトのバスは違う気がする。いろいろあって疲れたし、ちょっと落ち着いて考え直す事にして、今日はここに泊まる事にした。
シングルルーム(エアコン・冷蔵庫・バス・トイレ付)で40£Eだった。
当時の日本円で1200円程。£Eはエジプシャンポンドと読む。
「コーラをごちそうする」と言うので、レストランのある階へ移動した。
ぬるいコーラと一緒に、水パイプも持ってきてくれた。
僕は煙草は吸わないが、これは一度やってみたかったので、うれしい。
なんとなく涼しげで、さわやかな感じがする。

ピラミッド

「今日これからタクシーでピラミッドを見に行って来い」
と、オーサマが提案してきた。計画では僕は明日から南へ移動してルクソールとアブシンベルへ行き、またカイロに戻って来る予定なので、ピラミッドはその時にと思っていた。
往復のタクシー代、昼食、見学費用全て込みで100£Eと言う。安い。
迷っていると、このホテルに長期滞在している日本人旅行者の平井さんが登場した。寝起きで朝食を食べに来たそうだ。
「ピラミッドすげーいいよ」と言われ、行く事にした。

ムハマドと言う、髭おじさんがドライバーだった。
道路は車線が無く、みんなクラクションを鳴らしながら強引に走り抜けていく。最初は面白かったが、すぐに静かな安全運転の方がいいと気付いた。
途中、木陰でパンとチーズの昼食を食べた。

左がムハマド髭おじさん

サッカーラ(Saqqara)に着いた。
ジェセル王の階段ピラミッドが有名だ。
「入場券を買ってくるから20£Eと、3人にバクシーシで合計23£E出せ」と言ってきた。バクシーシとは、貧しい者への施し。お恵みの事。
僕は「最初に総額100£Eと聞いている。そこから20£E引いていいんだよね」と念を押して聞いた。「Yes」と言うので、払った。

祭壇の入口

祭壇に入るとガイドのおやじがついて来た。
「この石はアスワンから運んで来た」とか、レリーフやヒエログリフの意味を教えてくれた。突然ラクダ現れて「ウゴメゲヘガァ」と鳴いた。
面白がっていたら「一緒に写真を撮るかい」と言うので、撮ってもらった。するとバクシーシを要求された。相場もわからなけりゃ小銭もまだあまり持っていない。50ピアストル(15円程)を差し出したら怒った。
「おいおい、これだけってこたぁねーだろ」みたいな事を言うので、そりゃそうだと思い、5£E(150円程)にしたら、すごく満足そうだった。
多分、1~2£Eが適正なんだろうと思った。

日陰に水瓶があった。
雨水がここに自動的に溜まるように出来ている。
水はミドリ色で、何かの微生物がうようよ動いている。
ガイドのおやじが、普通にその水をコップですくって飲んだ。
すごくびっくりした。飲んで平気なの?

ガイドのおやじ

最後にガイドのおやじにも5£Eあげたら、怒って20£Eくれと言ってきた。
そもそも頼んでないのに勝手について来て、勝手に説明して、入場料に含まれるサービスかと思っていたので、こっちも頭にきた。
そんなにやるかよ!と言って、でもあと5£Eあげた。

ジェセル王の階段状ピラミッド

約束の時間に駐車場に戻ると、僕の乗って来たタクシーが見当たらない。
しばらく待った。
こうなったら他のタクシーに相乗りさせてもらおうかと考えていたら、戻ってきた。謝るでもなく「お茶を飲みに行ってた」と言う。
なんか態度が気に入らない。

つづく


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