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「本当に?」と疑う思考は、「主体的に学習に取り組む態度」を育てるか

私は思考力がない人なんていないと思っています。
誰もが考える力を持っています。(学校の勉強ができるかどうかも関係ない)

その証拠に質問されれば誰でも考えられます。

「昨日の夕飯は何を食べましたか?」といった事実を聞く質問。
「なぜ野球が好きなんですか?」といった価値観を聞く質問。
すぐ答えられるかは別として、質問されれば考え出せます。
要は思考力は誰にでもあるのです。

一方で挑戦力の源である「自分への質問」(自問)を誰もがもっているかというと、だいぶ差があるようです。

その自問が「本当に?」という疑う思考です。

かつて落合陽一氏が「モチベーション格差」が人生を左右すると言っていましたが、
まさにそのモチベーションがある人は「現状に満足せず、常に疑う思考」をしています。

「果たして本当にそれでいいのだろうか」
「本当にこれで合っているのだろうか」
「これは本当に正しいのだろうか」

自分の考え方や行動を建設的に疑うことで、探究心が芽生え、新しい方法ややり方が見出されていきます
そして実際に行動に移して、またその結果を疑うという繰り返し。
それを人には「前向きな人」と見えるわけです。
主体的に見える人は一様に常に「本当に?」という自問を持っています。

本人はとっては、ノーマルで、気負いもなくフツーの行動・思考様式なのですが
周りには「あの人はやる気がある・挑戦力があるな」と見えます。

教育のテーマとしては、その自問が生まれる環境をどのように作ればいいかということになります。

「それは本人次第、育てることは難しいよ」という人がいるかもしれませんがそれこそ本当にそうでしょうか?

例えば、以下のような質問を生徒にすることで生徒自身が自分で考える支援ができないでしょうか?(あくまで例です)

(目標について)
 「どのような目標を立てましたか?」
 「それは測れますか?」
(行動計画について)
 「目標に対してどのような行動計画を立てましたか?」
 「その計画は予定通り実践できましたか?それとも頓挫しましたか?」
(行動実践について)
 「どの実践が一番効果的でしたか?」
 「実践が難しかったときにどのように取り組みましたか?」
(感情について)
 「うまくできたときどんな気持ちになりましたか?」
 「逆に頓挫したときにどう感じましたか?」
(成長実感について)
 「やってみて自分の強みは何ですか?」
 「どのあたりが成長できた点ですか?」
(フィードバックについて)
 「フィードバックを素直に受け止められましたか?」
 「どんなフィードバックをもらいましたか?」
(行動改善について)
 「どう目標や行動計画の改善に活かしますか?」
 「自分軸としてどんな姿を目指しているんですか?」

(上記は拙著「絶対に達成する技術」「科学的にラクして達成する技術」に掲載したPDCFAサイクルに基づいています)

このような質問を教員からタイミングよく投げかけることで、生徒自身が
「果たしてこのままでいいのだろうか?」
「ちょっと待てよ。別のやり方はどうかな」
と疑う思考のきっかけを与えることができるはずです。

新学習指導要領の3観点として、1)知識・技能 2)思考力・判断力・表現力 3)主体的に学習に取り組む態度がありますが、とくに「主体的に学習に取り組む態度」についてどう育成しどう測るべきかという議論があります。

主体的な態度ですので、学習日誌や授業の最後のリフレクションで生徒が自分を自己評価し学習過程を振り返る機会を提供する必要があります。

その中で、いかに「本当に?」という建設的に疑う思考に持っていけるのか、が勝負だと思います。

主体性ですから生徒自身が考えて行動してもらう必要があるのですが、その思考を支援するのは、教員からの「問いかけ」が効果的です。

生徒の状況やシーンごとにあわせて「生徒に問いかける言葉」を教員自身がフレームワークとして持っていることは、その正解が1つでない時代を生きる生徒たちを育てる武器になるのではと思います。