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オフピークしよう、あなたもわたしも。

春くらいから通勤電車で見かける「オフピーク」の広告がいい。

小島よしおVer.と、ダンディ坂野Ver.がある。

「あのときもあのときの幸せはあったと思うんですけど……今の方が幸せかな」

びしっとジャケットを着て光が当たって、かっこいい(のが面白い)。派手なピークと今を語る、切なくもすがすがしい表情がかっこいい(のが面白い)。通勤ラッシュの混雑緩和が目的の広告だけど、かつての人気芸人にかけるセンスがいい。ウマいこと考えるなあ……と素直に感心してしまう。

ネットで見ると、4月1日からだったんですね。図らずも緊急事態宣言が出て、キャンペーンを張るまでもなく人手は激減した。だから宣伝の効果とか定着具合は測りづらくなってしまったんじゃないかな。

通勤ラッシュの混雑緩和のキャッチコピーだとはわかっているけれど、「オフピーク」っていい言葉だなと思う。
いちばん人気で、いちばん美しくて、いちばん仕事ができて、いちばんお金持ちで……と、私たちは上ばかりを見てしまいがちだ。だけどそういう指標に当てはめなくても、幸せに生きることはできる。それに、のぼりつめたら今度はその地位を奪われないことに必死になってしまうのだろう。きっと、ピークからの景色も怖いのだ。結局は周りが敵だらけに思えてしまう。ピークじゃなくてもいい。自分が幸せと思えるように、自由に生きようぜ。あの広告はそんなメッセージにも読める。

だけど私自身もそうだけれど、人と比べずに生きるのってけっこう難しい。自分が幸せだと思えることを、人を羨まずに選べる人はどれだけいるんだろうか。どうしたって隣の芝は青いし、人と比べるから自分が良くなるということもある。大事なのは「競争のための競争」になって自分を見失わないように、軸を持っていられるかどうか……なのかなあ。

おとといの帰り。「○○行きは混雑のため、3分ほど遅れて運行しております」のアナウンスが流れた。混雑?電車が遅れるほどの? 人が減った通勤電車に慣れてしまった頭が疑問符を浮かべる。

やがてホームにやってきた電車は確かに混みあっていた。でもコロナの前のような、人が押しつぶされるような混み方ではない。電車の側も、数か月のあいだに平和ボケしていたのかもしれない。

しかしかつての混み具合は異常でしたね。これから元に戻ってしまうかもしれないけれど、冷静な頭で考えると、毎日あんなに人と密着するなんてコロナなんてなくても正気の沙汰とは思えない。

都会人にぜひ、オフピークを。

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