「トイレの神様」は本当にいるのか
カフェのバイト中、トイレ掃除をしながらこの歌を思い出していた。
トイレ掃除は本来ならばホールの仕事である。その日私はキッチンに入っていたのに、ホールの女の子に「トイレ掃除お願いしまーす」と言われて断れず、トイレ掃除をする羽目になった。こういう時に断れない自分に嫌気がさしながらも、早く帰りたいがために淡々と仕事を片付けていく。
なんで私っていつもこうなんだろう。昔から「これやっといてね!」と言われると、断れない性分なんだよなあ…。
トイレ掃除を頼んできた女の子はスタイルが良くてモデルみたいな美人だった。要領よく愛想良く強かに自分の人生を生きているんだろうなと想像してため息が出る。不貞腐れてゴシゴシとブラシをこすりながら、トイレには神様がいるという歌があったなとふと思い出す。
その歌が流行った当時、私は小学生だった。幼い私にとってトイレ掃除とべっぴんさんの因果関係は難しく、何回考えてもよく分からなかった。
でも、25歳になった今なら分かる気がする。みんながやりたがらない地味な仕事、汚れ仕事を進んでやる人にはいずれ良い運が向きますよ、ということなんだろう。きっと。
私はあの子みたいに強かに生きられない。強かに生きたいとも思わない。人に仕事を押し付けるくらいなら、押し付けられる人でありたい。
そんなことを考えながら、床までピカピカに磨き上げた。
べっぴんさんになれますように。
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