10年ぶりの東京一人旅Day1:ライフステージの切り替わりは東京から
東京。
華やかで、忙しくて、楽しくて、寂しそう。
東京と聞くと、きっと人それぞれいろいろな形容詞が思い浮かぶだろう。
名古屋出身の私は、東京には住んだことはない。海外には住めても、なんだか冷たい印象を持っている東京には住めない、住むのは怖いと思っていた。
だけど、東京には会いたい人がたくさんいて、行ったことは両手では数え切れないくらいある。
東京、やっぱり特別だ。
行くたびに意味の違う場所。「本当に同じ土地に来たのか」と思わせるくらい、違う思い出を届けてくれるところ。
それが私にとっての東京。
【DAY1】ライフステージが変わる日、私はソウルから東京に向かっていた。
10年前の4月12日、私はソウルに飛び立った。結婚というライフステージの変わり目のために、飛行機に乗りこんで進んでいた。桜が咲いている時期だった。
そして、偶然にもそのちょうど10年後の同じ日である4月12日、私は東京の地に1人でやってきた。東京でも遅咲きの桜がまだ少し残っていた。
ちょうどソウル生活10年目の節目の日。ライフステージが変わる特別な日になる。空の上でそんな瞬間な気がしていた。
この旅の最大の目的は、翌日に控える「SHEアワード」という通っているオンラインスクールであり、業務委託先の会社のイベントに参加することだった。
イベントの前日入りをしたのは、20代前半にシンガポールの日本語学校で一緒に働いていた同期たちに会って、祝杯を交わしたかったからだった。
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午後の飛行機でソウルから東京に渡った。
金浦から羽田。
選んだ航空会社は乗り慣れた大韓航空。やっぱりこの飛行機が安心する。価格は高いが迷った末、やっぱり大韓航空を予約していた。
大韓航空の映画のセレクションが好きだ。ネットフリックスで数多くの作品から見たい映画を選ぶことに疲れている私は、限定された中から良い作品を探せる、こんな時間がとても好きだ。
大韓航空は日本未公開の映画も見ることができる。韓国から日本の距離は一つの映画を見終えるのにちょうど良い距離だ。
行きの飛行機で見た映画は「シングル・イン・ソウル」。昨年11月に韓国で公開された、ずっと見たかった韓国映画だった。10年間、ソウルが変わったように、韓国映画の作品のあり方も変わっている。
この映画は10年のソウルで生きる人々の変化を感じる映画だった。10年ぶりの1人旅の始まりにもってこいの映画であった。
映画の詳細はこちら👇
映画を見ていると、あっという間の到着だった。いつもは子供と一緒なのでとても長く感じる飛行機の時間が、こんなにも心地よい時間だったということを10年ぶりに思い出した。
だから、私は旅が好きだったんだ。
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飛行機を降りて、友人の予約してくれたお店のある恵比寿に向かった。
3年ぶりの久しぶりの再会。変わらない顔がそこにあった。生きやすいとは言えない、東京という街に揉まれながらも努力し続けている、そんな2人の姿があった。
美味しいお酒、美味しいご飯。そして最高の友人。こんな時間を過ごしたのも10年ぶりだったかもしれない。
友人の1人は、ずっと日本語教師の仕事を続けている。日本に帰国後も日本語学校に就職して、今は大きな日本語学校の管理職までキャリアアップしていた。
コロナ禍でインバウンドがゼロになって落ち込んだときに、仕事を失って苦労していたのも知っていた。それでも日本語教師を続けている彼を本当に尊敬している。
もう1人の友人は、シンガポールにいるときに日本語教師はすぐにやめ、IT関連の仕事に未経験ながらも転職していた。
彼女は結婚後、パートナーの駐在帯同でアメリカに行くことになり、キャリアブレイクを余儀なくされていたこともあった。けれども、ライフステージを重ねながらも、フリーランスのエンジニアとしてキャリアを積んでいた。最近転職して子育てしながらも働ける在宅勤務の会社員にキャリアアップしたという。
会えない間にも子育てもキャリアもしっかりと軸を持って進んでいる友人たちを私は誇りに思う。そして、私も頑張ってたんだよと伝えられてよかった。
大学卒業後、新卒でシンガポールに渡り日本語教師になった私たち。出発点は同じだった私たちが、今では全く違ったキャリアを歩んでいる。
名古屋の地元にいたら出会えなかった友人たち。私はこの夜、この友人たちに出会えるような、自分のしてきた選択に感謝をした。
あの時シンガポールに行っていなかったら絶対に出会えなかった2人。人との出会いこそ、自分の選択を見つめ直すきっかけになりうると思った。
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時間は過ぎる。過ぎ去ってしまった時間は、もう取り戻せない。けれど人との縁はその時間をなかったものにはさせたない。
「自分らしさは自分の選択の中にこそ宿っている。」
それを友人たちとの縁がいつも教えてくれる。
DAY2へつづく→
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