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明治時代の人物情報誌『人事興信録』をデータベース化! 【4】

今回は、明治時代の人物情報誌のデータベース化プロジェクトを紹介します。

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今年も恒例の世界長者番付が発表されましたね。世界のメディアも注目のトピックですが、実は日本にも、明治時代から富裕層やエリートについての情報誌があったのをご存知ですか? その名を「人事興信録じんじこうしんろく」といいます。

人事興信録は、明治36年から平成21年までの100年近くに渡り、日本社会の上流階級の男女を記録してきました。戦前の人事興信録には、身分や職業、生年月日、婚姻関係や親類関係など、かなり詳しい情報まで載っています。アメリカやイギリスの同様の人物情報誌と並び、歴史的にとても貴重な資料です。

これを誰でも簡単に活用できるようにしたのが今回のデータベースです!

人事興信録は、数年ごとに新しい版が出版されています。大正4年と昭和3年に出版されたものはすでにデータベース化が完了し、検索できる形で一般公開されていました。今回3315名が記録されている明治36年に出版された版の作業を終え、明治、大正、昭和の人事興信録のデータベースを提供することになりました。

ただ、旧字体で書かれた資料を解読し、情報を収集していくその作業量は膨大です。研究グループは、書かれた文字をテキストデータにし、文章の解析に情報処理技術を活用することで、作業時間を大幅に短縮しました。

検索ページを英語にしたことも大切なポイントです。人事興信録は世界的にも日本を対象とした調査で利用されているので、言語のハードルが低くなれば海外からの利用も増えそうですね。

研究を行った増田知子 ますだともこ教授と佐野智也さのともや特任講師からのコメントです。

「何千ページにも渡る膨大な資料のテキスト化には、多大な経費と時間がかかるので、それに見合った成果が得られるか正直不安でした。企業の協力を受けてデータベース化事業に成功したことは、これまでにない歴史研究を可能にするものだと言えます。今後多くの研究者とともにこのデータベースを使って新しい近代日本社会の実像を明らかにしていけると考えています。」

詳しくは、2021年4月20日の名古屋大学研究プレスリリースもご覧ください!

トップ画像出典元:国立国会図書館デジタルコレクション

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 「日本研究のための歴史情報」プロジェクト

 人事興信録データベース

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