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祖国の敵ナポレオンのロシア遠征を大敗に導いた祖国戦争。チャイコフスキーは1812年大序曲に何を込めたのか

前回は、ベートーヴェンが1813年に作曲した「ウェリントンの勝利」という曲に纏わるエピソード、そしてナポレオンが完全に失脚する原因となった1815年のワーテルローの戦いについて書きました。

フランスの英雄は、ヨーロッパ諸国やロシアにとっては宿敵でしかなかった。

フランス革命は、フランス国民による封建制度や王政への否定を形にしたものでした。これに脅威を抱いたのは、引き続き王政を維持する周辺のヨーロッパ諸国です。

ナポレオン戦争といわれる戦争は、フランス革命を自国に波及させたくないヨーロッパ諸国の連合軍と、王政を否定し、各国の人民を開放するという名目にたったナポレオン率いるフランス軍との戦いでした。

ナポレオンは破竹の勢いでヨーロッパ諸国を支配下に置き、イギリスの封じ込めのために発令した大陸封鎖令に従わないロシアに対して、1812年に69万人という大軍で侵攻しモスクワを制圧するも、ロシア皇帝アレクサンドル1世の降伏もなく、また食糧補給にも失敗し退却することになります。

最終的には、飢えと凍傷、行軍による疲労で5000人の将校とともにフランスへ逃げ帰る結果となります。これを1812年ロシア戦役と呼び、ナポレオン戦争は転換点を迎えます。

チャイコフスキー:序曲「1812年」

ロシアの作曲家チャイコフスキーが1880年から作曲をはじめ、1882年に初演された序曲「1812年」は、そんな祖国を侵攻したナポレオンを撃退した1812年ロシア戦役を讃える内容で描かれています。

歴史的事件を通俗的に描くという内容のわかりやすさによって、人々に大いに喜ばれる作品となりました。

演奏の中で大砲を使用する演出をチャイコフスキーも意図していたようですが、実際に1882年の初演で大砲が使用されたかは不明です。

現代において、コンサートホールで大砲を使用することは当然ありませんが、日本においては陸上自衛隊の音楽隊による演奏で実際に大砲を使用する動画がYoutubuにもアップされています。

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