【緑と心の白さ】

 清廉潔白の身でありながら私はどこかに影を落として生きている。
 
 なにも犯していないはずなのに生きていて申し訳ないと感じてしまっている。
 だから、緑のあるこの土地に引っ越して細々と生きているのではないか。
 
 どうして生きづらくなってしまったのか。理由なんてものはすぐに思い付く。ただ、思いついたところでなにも変わらないし、なにも生まれない。感づいた時点でもう生きてる感覚が後悔へと変わるのだ。
 
 「緑と白」
 
 この2つの色覚的要素は、攻撃性を持たないものだと思っていた。
 そんな淡い幻想も虚しく、実は攻撃性のある色だと感じた瞬間に私はまた後悔をしてしまうのであろう。
 「潔白」を証明する親友はいるのか。「自然の恵み」が恒久的に存在すると言い切れる証人はいるのか。
 結局、ここまで細かく考えてしまう。つまり、私は良いところを見て褒めるよりも悪いところを見つけて攻撃してしまう人間であることが分かった。
 何処に行ったって染み付いた心は変わらず、今の私を形成する。そんな自分と向き合って認め合わなければいけないのだろう。
 
 そう定義づけて、私はこの筆を置く。
 最後に、「鈍感な人間は精神的余裕がある」と書き加えてこの話からは離れようと思う。
 風を感じ、その匂いを辿る先に私の価値観を変える人間がいると信じて。

 

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