※性犯罪について少しずつお話します。
いっぱい話すと読んでくださる方にご負担かもしれないので、少しずつ。

今回は、「イネイブリング」という言葉を紹介します。
性犯罪・性加害だけでなく、あらゆる依存症（薬物、アルコール、ギャンブルなど）がなかなか改善されない背景には、このイネイブリングがあると考えられています。

イネイブリングとは・・・
「尻拭い」「世話焼き」など、依存からの脱却を遠のかせる周囲の行動のことです。
周囲、特に家族は「本人のためを思って」「良かれと思って」その行動をしている点は、過干渉・過保護、と少し近しい意味合いもあります。

イネイブリングの例として、
事件を起こした本人に代わって家族が示談金や罰金を支払う、
本人がお金に困っていることを知ってせめて生活費だけでもとお金を渡す、
飲み過ぎにより翌朝出社できない本人に代わり家族が会社に謝罪の連絡を入れる、
問題行動以外は何でも本人の要望に応えようとして顔色を窺い言いなりになる、
などが挙げられます。

過干渉・過保護な行動は、それをされる側がちょっと鬱陶しく思うかもしれませんが、
イネイブリングの場合は、鬱陶しいというより有り難く捉えてしまい、甘えに繋がります。自分が問題を起こしても「いつものように周囲が尻拭いをしてくれるから、まあ大丈夫」「どうせ家族が世話焼いてくれるし、まあ何とかなる」など、本人が自分で自分の問題と向き合う機会を与えません。自分で苦しみながら向き合わなくても、周囲が先走っていろいろ片付けてくれるからです。
問題が全く改善されない、悪循環の始まりです。

身近な人が依存的なことで悩んでいる、ずっと問題を抱えている、という状況をただそばで見ているだけなのも苦しいものです。家族としては、本人のためを思って、本人の回復を願って、たくさんの苦労を重ねてこられたことでしょう。その家族の行動こそイネイブリングで、そのために本人の依存行動が続いている！なんて、今まで一生懸命に世話してきた家族にとっては受け入れ難いことだとも思います。

だから、まずはちょっとだけ立ち止まり、今まさに尻拭いをしようとするその手を止めて、顔色を窺いながら選んだその言葉を飲み込んで、対応を変えていきましょう。専門家に相談することで、何をどう変えるとより良いのか、整理しながら実行することができます。

イネイブリングしない、尻拭いしない、世話を焼かない、
・・・では何をしたらいいのか？
こたえは、
周囲・家族が、問題を抱える本人と物理的にも精神的にも距離をとり、
あなた自身の生活を守り、あなた自身の人生を楽しむこと　なのではないでしょうか。

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