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マイクロノベル集 203「合わせ技」

No.1229
北風と太陽が話していました。「おい、あそこに干された洗濯物を見ろよ」「ああっ、もう夕方だというのに、まだ乾いていない」「ここは一つ、俺たちの力を見せつけてやろうじゃないか」『友情パワー!!』 この話の結末かい? 湖が一つ干上がったんだよ。


No.1230
光あれ! 光があればなんでもできる。観測し放題。インターネットもできるぞ。ワープの実現も近い! 「ブラックホールは?」あれは邪道だよ。最短距離を真っ直ぐ進むという美学がない。「ああ……光が闇に呑まれていく」勝手に闇堕ちさせないでくれるかな。


No.1231
せっかく雪がつもったから友達と雪合戦したいのに、手袋が見つからない。「お父さんの靴下を使いなさい」サイアク。ところが、投げた雪玉は過去最高の速度で対戦相手を叩きのめした。「いつもやっているからね」ふうん。お母さん、手袋を買って。


No.1232
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんはマグカップの中を見て、お婆さんは川へ洗濯に行きました。なにが入っていたかって? 桃から生まれた桃太郎だよ。常識だろ? マグカップの方? それはお爺さんじゃないとわからない。

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