東京物語(1953;監督:小津安二郎)

杉村春子演じる長女志げの「お父さんったら、もう、嫌んなっちゃうわぁ。」というセリフと表情が大好きだ。このシーンは何度見ても楽しい。

 父周吉と母とみが、三人の子どもが住む東京に来て、上二人の子どもから迷惑がられ、最終的に末っ子が一番優してくれる。このストーリー、どこかで見たなぁと思ったらシェイクスピアの「リア王」だった。そうか、これは小津版リアなんだな。

 父は東京に住む旧友と再会し酒を飲むが友人は帰ってしまう。深夜、父は志げ夫婦の家に帰ってきて酔い潰れているというシーンだったと記憶している(随分あやふやなのでこれを機に再度見返してみる)。

 不意に帰ってきた父に驚くが放っておくわけにはいかないので自分たちの布団を父に貸す。そこで思わず出てくるのがこの台詞。こんな時、嫌味の一つも言いたくなるのが人間だ。

 わたしにもある。腑に落ちなくてもやらなければならない時が。そう言う時はこう呟こう「もう、嫌んなっちゃうわ。」何も変わらないかもしれないが、人間だなぁと思う。


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naho

映画

映画を媒介にして自分が何を考えているかについて気づくことがあります。映画同士の比較や、その映画が作られた背景である時代状況などにも踏み込んで自分が何故その作品に惹かれたか(あるいは惹かれなかったか)について考えてみたいと思います。
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