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英語ができなかったぼくと、英語しかできないカナダ人女性との辞書なしファーストデート

恋愛はコトバの壁も乗り越えちゃうみたい。


2015年の10月頃、ぼくはカナダのエドモントンという街にいた。


東アフリカのルワンダという国で、青年海外協力隊という立場で2年間の任期を終えて、これからもアフリカでやっていくという覚悟はきまったものの、それに反比例するかのように英語への学習意欲はおこらず、どうやったらこのナマケモノが英語を勉強するようになるかと考えた結果、「英語をはなせないと死んじゃうようなところに行けばいいのだ」、とワーキングホリデービザをとって、決死の覚悟でやってきたのである。


日本人はおろか外国人も少ないこの街で、履歴書を何十枚もだして、やっとのことでみつけたレストランでの皿洗いのアルバイト。ぼく以外はほぼネイティブなカナダ人だらけ。知ってる?海外の映画やドラマの英語ってとっても聴きやすく話されているんだ。ほんらいのネイティブ同士の会話ってマジで一文字も聴きとれないくらいの速度と、スラング的なコトバだらけなのですよ。


だから、最初の2週間くらいはぜんぜん友達もできなかったし、みんな気をつかって話しかけてくれるんだけど、ぼくがまったく理解せずに「ニコッ」って困り気味の笑顔しかかえせないから、徐々にはなしかけてくれる人も減っていっちゃった。



そんなぼくに、ある日店長から「内藤に興味もっている女の子がいるのよ。Facebookおしえてもいいかしら?」と言われる。


「え?」と、まったく想像もしていない出来事におどろくも、「ほんとう?いったいどんな子がぼくに興味を持ってくれているの?」と聞きたかったけど、英語でどうやって聞いたらいいかわからなかったので、「オフコース!」と元気よくOKを出した。



翌日だったか、メッセンジャーで連絡がはいってきた。その子の名は「クリス」といった。名前ではわからなかったけど、Facebookプロフィールの写真をみて「この子か!」と思い出すことができた。


クリスは大学を卒業して、そのままこのレストランでウエイトレスとして働いていたみたいで、彼女に会いにくるためにおとずれるお客さんもいるほど、見た目もかわいくて性格も明るかった。


彼女は将来、世界のジェンダー問題や貧困解決に取り組むようなことをしたいとメッセンジャーで語ってくれて、ぼくがアフリカで活動をしていたという話を店長から聞いて、興味をもってぼくに連絡をくれたそうだ。


バイト中にも、お客さんが食べた食器をクリスが下げてきたときに会話をするチャンスはあるのだけれど、あいにくぼくの圧倒的英語力の低さで、あいさつ程度のコミュニケーションしかとれなかった。


仕事を終えて、家に帰って、クリスとメッセンジャーで電子辞書片手に会話をするのが日課となり、楽しみになっていた。



いつの日か、お互い男女としても意識をするようになっていった。



そんな彼女と初デートをすることになった。場所はカフェ。


ぼくの英語力の低さはクリスも理解していたから、「今日はデートだけど、まずはあなたと辞書なしで話せるようにならなきゃね。」ということで、昼からカフェに集合し、夕方までずーっと辞書なしで話をしようとメッセンジャーであらかじめ決めたのだ。



コーヒーを片手に、ぼくがいろいろと話ををする。

なんとかぼくは家族の話、大学でなにを学んだのか、日本ではどんな会社で働いたのか、なんでアフリカに行ったのかなどを、たどたどしい英語でクリスに伝えた。

クリスは理解していないときは顔にはっきり出るから、そしたらぼくはありったけの英語引き出しを開けて、別な言い方で伝える。

今なら3分もあれば伝えられるような内容を、1時間以上かけて伝えた。



次にクリスが話すターン。

これが大変で、クリスはいままで英語を話せない人とあまりコミュニケーションをとったことがないから、ゆっくり英語を話すというのができなかった。だからぼくが「Can you speak more slowly?」とおねがいしても、ほんのちょっとだけ遅くなったかなと思うくらいしか速度調整ができなかった。

聞いたことがない単語、ネイティブ発音だからわからない単語など、なかなか理解することができなくて、がんばって話してくれているクリスに申し訳ない気持ちになった。

それを察したクリスは、いったん話すのをやめて、メッセンジャーにメッセージを送ってくれた。



Even though I can't communicate well, I'm really happy to talk with you now.
(あなたとうまくコミュニケーションができなくても、わたしは今とっても幸せよ)



これを読んでとってもうれしくって、気が楽になって、そこからは通じないときも、お互い変顔をしたりして、おもいっきり笑ったりして、ようやく通じたら店内に鳴り響くくらいのハイタッチをしたりした。



あっという間に5時間が経ち、ノドも枯れてきてしまうほど話したぼく達は、話した内容自体は大したボリュームじゃなかったけれど、まるで数ヶ月いっしょに過ごしたかのような絆が生まれていた。



恋愛は、障壁があった方が燃えるって聞いたことがあるけれど、コトバや文化の壁も同じような効果があるみたいだ。



いままで英語ができなかったことがコンプレックスでしかなかったけれど、このときだけは自分の英語力のなさに感謝をしたのであった。


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人生賭けてアフリカで活動中ですが、ご飯を食べないと死んでしまいますので、いただいたサポートは僕の燃料として大切に使わせていただきます。