武術論②

我々の戦術論の要として、「当身の五要素」なるものがあります。

適切な間合い、角度、位置に相手の想定を超える速度で、相手の隙に叩き込む。というものです。この5条件がそろったとき、打撃は最大の威力を発揮します。1つでも欠けると打撃は機能しません。柔術系の投げ技固め技も似たようなものです。

大事なことなので繰り返します。この5条件がそろわないと十分な打撃になりません。

どういうことか?

防御側が5条件を支配すればいいんです。

相手をきちっと見てれば何が来るか分からなくても「何か来る」ぐらいは分かります。「何か来る」が分かったら一つしめたもんですよ。

「何か来てる」最中に的がずれたら攻撃を修正することは不可能に近い。これ、攻撃が打ち込みたい間合いがずれるのでその状態で防御側に打撃が当たっても大したことありませんので、防御側は安心して何かを仕掛けるとよろしい。

さらに究極の話をすると隙(虚実)を防御側が支配すると「どこに来る」が予測可能になります。

具体的には防御側が万全の陣形を敷いてはいけません。それはイコールどこに来るか分からない=攻撃を読めないに直結します。

故意に1か所無防備な場所を設けるのがよいです。2か所でもいけません。

最初からそこを守る気で備えてもいけません。「無防備」じゃないとだめです。

特におすすめなのは怖いけど顔面がら空きにすることです。

明らかな無防備はそこを突かれます。それがいいのです。

防御側からすると勇気をもって作った無防備。読み取るのは来るタイミングだけ。少なくとも初撃はそこに来ざるを得ないですから。

まず「あ、来る」だけで間合い・急所外しが使えます。「あ、来る」で全部わかるので、速度も殺せます。角度も無効化できます。しかも作った虚なのである意味実も同然。

1点無防備論を極め、心に余裕ができると大体拳法4段クラス以下の打撃なら非常に遅く見えるようになります(脱力を覚えた5段オーバークラスの打撃は厄介です)。遅く見えるからギリギリに引き付けるのも余裕です。

「どこをやられるか分からない」のはまだ未熟です。

本当に強い奴は自分の思うつぼな場所に攻撃を誘導できるから強いのです。

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