昼過ぎから、美大の卒業展覧会に出かけた。
今春入社する新卒の展示を見るためだ。
実は、これまで見に行ったことがない。今回はじめてとなる。

まずは、どこに行けばよいのかわからず、パンフレットをもらうために中央の管理棟に向かった。入り口を抜けると大きなロビーが広がっている。その片隅では学校説明会が行われていた。

学校説明会ブースでは、ここで事務をしている僕の友人を見かけたが、親子に向かって何やら熱心に話をしていたので、声はかけなかった。

とりあえず、近くの棟から見て回ることにした。ざまざまな学科の学生たちが、4年間の集大成とも言うべき作品を展示してる。そこには、創作に対する情熱や愛があった。エルガーの「威風堂々」がよく合う雰囲気で、展示が見ながら、来年新卒で入ってくる子達の作品を探す。

来春デザイナーとして入社予定の子の作品を探していた時、人が集まっている場所があった。
どれどれと、覗いてみるとその子の作品だった。よく見ると最優秀賞。今年の卒業生で一番優秀だったということだ。
かなりびっくりした。そんな優秀な子なの？できる子だとは思っていたが、そこまでだったとは・・・。
これは、育て方を間違えられないというプレッシャーも出てくる。
かなり才能がある子だ。期待もさることながら、不安もあった。

もうひとりの子の展示を見に行くことにした。
２０分は探しただろうか？なかなか見つからない。仕方がないので一つずつ見ていったら、入り口の一番わかり易いところに展示されていた。
何度も通ったはずなのに見落としていた。

もうひとりの子は、特に賞は取っていなかったが内容は、会社で必要としている考え方がちゃんと表現されていた。入社を意識してかどうかはわからないが、よくまとまっていた。学校では賞はくれなかったかも知れないが、僕は何か賞をあげたいと思った。